猪子さん、マッキンゼーは嫌いですか(下) まずはプライドを捨てなさい!

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猪子:ああ、そうそう! だから自分の行動や感情は比較的、21世紀になっているにもかかわらず、言語や論理で考えすぎて、間違った選択をしてる人が多いと思うんですよ。

もっと自分のテンションが上がるとか、何に感動しているかとか、何をカッコいいと思うかとか、そういうものをもうちょっと素直に受け止めて、それを優先したほうがいいような気がするけどね。

田中:「コンサル本とか読んで原始人化すんな」ってことですよね? とりあえず(笑)。

猪子:たとえばソニーの製品を何も買ってないのに、就活でソニー受けて入るって、ある意味、驚異的な行動じゃない? でも「なぜソニーに入るのか?」って超絶うまくプレゼンできたりするわけ。言語と論理によって。

田中:はい、はい。

猪子:なんかおかしいよね? で、またそのプレゼンがめちゃくちゃ正しかったりしてさ。すっごい説得力があって、オレなんか負けちゃったりするんだよ。「そのプレゼンに対する反論を言葉にするのは、1時間ぐらい待ってもらえるかなあ」みたいな。揚げ句の果てに、全然違う話になったりしてさ(笑)。

田中:目に浮かびます。

猪子:でしょ? オレはそれが言いたい。「ソニー」って検索することもないのに、つまり結果としての行動からすると、自分は本当の答えを知っているにもかかわらず、ついつい言語や論理で考えすぎるがゆえに、ソニーに入ったりする。

しかも「それ、おかしくない?」って反論したら、言語と論理できっちり説明できたりする。その状況がヤバイよね。

田中:「頭じゃなくて、ハートで考えろ」と。

猪子:そう言うとさあ。

田中:違うんですね(笑)。また論理で説明してます?

猪子:なんか知性を否定してるみたいじゃん? オレは知性というものを全面的に肯定してるよ。そういうハートフルな意味じゃなくて……。うまく説明できない!

田中:はい、マッキンゼー仕込みの原始人的な頭なりには理解できました(笑)。

猪子:いや、オレ、ほんとマッキンゼー、嫌いじゃないから! てか、むしろ、いつのまにか踊らされて、テンション上がって、田中さんのこと大好きになってるから!…あ、それが今のマッキンゼーの強みかあ!

田中:ありがとうございました。

(構成:上田真緒、撮影:尾形文繁)

田中 裕輔 ロコンド代表取締役

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たなかゆうすけ / Yusuke Tanaka
株式会社ロコンド 代表取締役。
1980年、大阪府生まれ。
2003年、一橋大学経済学部卒業後、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンに入社。
07年、26歳で同社史上最年少マネージャーに就任。
09年、カリフォルニア大学バークレー校経営大学院にてMBA取得。
同年、DeNA Globalにおいてマーケテイング・製品担当上級副社長を経て、11年、株式会社ロコンドを共同創業し、現在に至る。
著書に、ベストセラー『なぜマッキンゼーの人は年棒1億円でも辞めるのか?』、『ガンガン行こうぜ!人生のイシューを解く「インパクト志向」』がある。
Twitter: @Yusuke_Tanaka
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