長期国債購入を月850億ドルに拡大 FRBの12月金融政策見通し(Fedウォッチャー)

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12月のFOMCで示される次の一手


バーナンキ議長は、すでに9月FOMC後の記者会見の場で、ツイストオペ終了時点で量的緩和策を全面的に見直すという方針を示していた。追加的な債券購入が必要かどうかを判断するには、新たな経済見通し(SEP)が必要であり、また追加緩和がもたらすメリットとデメリットを記者会見で丁寧に説明することも求められる。

いまのところ、ツイストオペが終わった後に初めて開催される来年1月のFOMCは、追加緩和を打ち出すための上記2つの“条件”を満たさない。そこで“条件”を満たす次回(12月11~12日)のFOMCで、ツイストオペ終了後の量的緩和策の姿を明らかにすると考えられる。

ツイストオペで長期国債の購入に割り当てていた1カ月450億ドル相当をQE3に追加し、総額で1カ月850億ドルに拡大するというものになろう。ただし、12月FOMCでの政策決定までに「財政の崖」回避に目処がつけば、追加緩和は来年3月まで見送られる蓋然性が高い。

さて、フォワードガイダンスは、家計や企業、投資家の予想形成に働きかけることで、彼らの行動をFRBが望む方向へ促そうとするコミュニケーション政策の1つだ。

住宅市場の回復が鍵だと考えるバーナンキ議長は、「労働市場や住宅価格、経済全般などの将来に対する懸念が、住宅購入を考えている人々を躊躇させてしまう」(11月15日)と述べている。FRBのコミットメントを工夫し、人々の信頼を高められれば、「個人、家族、企業が、進んで投資を行い、人々を雇い、支出する」(同)ようになり、景気回復が勢いづくという考えだ。

そのため、FRBは一段のコミュニケーション政策の向上を図ろうとしている。すでにこれまで実施してきたコミュニケーション政策の改善そのものが、FRBの長い歴史を振り返れば「恒久的かつ重要な進展」(イェレン副議長講演、11月13日)と言われているが、課題は残る。

現状では議論のたたき台に過ぎないSEPの位置づけの改善や、特定の経済指標を使ったフォワードガイダンスの導入などだ。これらもまた今後の米金融政策の大きな注目点である。

小野 亮 みずほリサーチ&テクノロジーズ プリンシパル

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おの まこと / Makoto Ono

1990年東京大学工学部卒、富士総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社。1998年10月から2003年2月までニューヨーク事務所駐在。帰国後、経済調査部。2008年4月から市場調査部で米国経済・金融政策を担当後、欧米経済・金融総括。2021年4月より調査部プリンシパル。FRB(米国連邦準備制度理事会)ウォッチャーとして知られる。

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