バトルロワイヤル化するTwitter なぜ”マス”メディアに変貌したのか

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今のTwitterは、マスでありながら同時に、プライベートなものでもある。有名人を罵倒するユーザーの態度は、そんなTwitterの今を反映しているのだと思う。テレビを見るような感覚で芸能人Twitterをフォローし、ニュースをRTする。テレビ番組の感想を友人と語り合う感覚で、芸能人を名指しで批判する。彼らのタイムラインでは、友達など「仲間」「内輪」と認める相手に対しては、温かい言葉をかけるなどとても優しいのだが、芸能人をTwitterで中傷・罵倒することに対してはまったく気がとがめない様子だ。

おそらく彼らに悪気はなく「いつもどおり、友達と芸能人について話していただけ」、「偶然Twitterがあったので、Twitterで感想を言っただけ」なのだと思うが、そんな人が数百人、数千人と有名人を名指しで非難すれば、相手の心を殺すことができる。

バトルロワイヤルTwitter

今のTwitterは、マス側・発信者側にいる人にとっては、徒手空拳のバトルロワイヤル状態だ。多くの人に情報を発信できる一方で、いつどこで、何がきっかけで批判・中傷されるかわからない。1つの発言が文脈から切り離されて切り取られ、Twitterのみならず、2ちゃんねるやニュースメディアを賑わすため、発言も慎重にならざるをえない。「優しい場所」だったあの日のTwitterは、もうここにはない。

先日、元AKB48の前田敦子さんがTwitterを始めたが、早速、中傷やひわいな言葉などが大量に投げつけられていた。アイドル生活で鍛えてきた精神力の賜物なのか、“中の人”でもいるのだろうか、あっちゃんは今のところ気にせずTwitterを続けているようで、さすがだなぁと感心する。

筆者も発信側の端くれだが、気の小ささと打たれ弱さには自信があるので、炎上を招かないよう最近は、できるだけ何も言わないようにしている。意見が割れそうなことは言わないし、思考のだだ漏れも書かない。

ただ、気になるニュースをつぶやいたり、テレビ番組の感想を(できるだけ無難に)書いたり、自分が書いた記事を告知するぐらいにとどめている。何かつぶやこうとフォームに入力までしても、結局「ツイート」ボタンを押さずに消してしまうことも多い。発信側にいながら、全力で受け身を取っている。

ただ考えてみると、女性や有名人が自動的にチヤホヤされた3年前のTwitterは、外野から見るといかにも内輪っぽくて気持ち悪かったかもしれない。内輪感が消えた今のTwitterは、飾らない本音に接することができる貴重なメディアともいえる。

とはいえ、発言が炎上するとすごく疲れるので、筆者はこれからもできるだけ、沈黙を保っていきたいと思っています。Twitterで黙っちゃう人が増えるのはもったいないよなぁ……と思いながら。
 

岡田 有花 フリーライター

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おかだ ゆか / Yuka Okada

1978年、兵庫県生まれ。京都大学教育学部卒。IT系ニュースサイトITmediaの記者、Webベンチャーnanapiの編集者を経てIT・Web分野を中心に取材、執筆するフリーライター。

ITを切り口に、人の心、そして社会の有り様にまで踏み込み、取材される側の信頼を獲得してこそ書ける記事を執筆する。また、時に見せる体当たり記事の潔い姿でも名高い。

著書『ネットで人生、変わりましたか?』
(2007年、ソフトバンククリエイティブ)も刊行している。
Twitter @yukatan

 

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