オリンパス、新中計初年度から円高の洗礼 不正会計時からステージは変わったが…

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財務的な危機が一段落したことで、次の焦点は成長のための基盤構築に移る。中期計画では、2021年3月期に売上高1兆1000億円、営業利益1700億円を目標としている。原動力となるのは、引き続き市場拡大が見込める医療機器事業だ。

医療機器の中でも、重点分野は処置具と外科器具だ。消化器内視鏡では世界シェア7割を誇るオリンパスだが、後発分野である処置具や外科器具は欧米企業が牛耳る分野で、オリンパスの世界シェアは2割台にとどまる。この分野を開拓することが、さらなる拡大に不可欠だ。

中計初年度から円高の試練

しかし、中期計画の初年度となる2017年3月期の業績見通しは厳しい。売上高は8000億円(前年比1%減)、営業利益は900億円(同14%減)となる計画だ。足かせとなるのは、これまで成長を引っ張ってきた新興国市場の景気停滞と円高。特に円高の影響は厳しく、笹社長は「為替影響を除けば営業利益は7%成長だ」と強調した。

オリンパスの収益柱である内視鏡は拡大基調が続く

外部環境悪化の影響が避けられない一方で、重点分野については強気だ。医療事業全体の売り上げが横ばい見通しの中で、処置具と外科器具の2分野は円高影響をはねのけ4%成長を見込む。

笹社長は「製品ラインナップの拡大など、これまでにやってきた施策が効いてくる。市場成長の恩恵もあるが、シェア向上の方が要因として大きくなるだろう」と自信を見せた。

経営危機からようやく一息ついた矢先に円高が襲い、幸先の悪いスタートとなったオリンパス。とはいえ、成長に向けて歩き出したのは確か。着実に地盤を築き、長期的な利益につなげていくために、2016年度は重要な年になりそうだ。

渡辺 拓未 東洋経済 記者

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わたなべ たくみ / Takumi Watanabe

1991年生まれ、2010年京都大学経済学部入学。2014年に東洋経済新報社へ入社。2016年4月から証券部で投資雑誌『四季報プロ500』の編集に。精密機械・電子部品担当を経て、現在はゲーム業界を担当。

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