キンドルが売れないこれだけの理由 日本は電子書籍の「墓場」だ

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実は私も、当時の「電子書籍元年」の掛け声に動かされ、自身の小さな出版プロデュース会社で電子書籍の制作に乗り出した。そのためにキンドルも「iPad」も買った。キンドルに至っては、アメリカで売れ出したときにすぐ第二世代のキンドルとキンドル・デラックスを購入した。「iPad」も日本発売が待ち切れず、アメリカの友人に頼んで購入した。当然、その後も、日本で発売された電子書籍専用端末はほとんど買って試してきた。

そうしてみていま言えるのは、どの端末も中途半端、結局、これで本を読む気はしないということだ。

たとえば、ソニーの「リーダー」は、当初、通信機能がなかった。USBコードでPCに繋ぎ、そこからダウンロードした電子書籍を端末に取り込まなければならなかった。当然、こんなものを買うユーザーはほとんどいなくて、慌てたソニーは無線LANモデルの「PRS-T1」、無線LANに加え3Gの通信機能を備えた「PRS-G1」の2機種に切り替えざるをえなかった。

私が買った旧「リーダー」は、いまやほこりを被って机の下に埋もれている。日本の出版社で電子書籍に最も積極的とされる講談社は、この「リーダー」をソニーから仕入れて2011年8月に全社員に配ったが、講談社社員でいまもこれを使っている人間を私は知らない。

買ってがっかり、使ってがっかり

もっと悲惨だったのはシャープの「ガラパゴス」だろう。前宣伝も派手で、そのネーミングからして話題を呼んだが、本当にガラパゴスだったから驚いた。

結局、シャープはカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と共同で設立したコンテンツストアの「TSUTAYA GALAPAGOS」を完全子会社化し、電子書籍専用端末を縮小せざるをえなかった。タブレット端末としての「ガラパゴス」事業を続けてはいるが、いまや会社の存続すら危ぶまれている状況だから、電子書籍事業などやっている場合ではない。

私は、シャープ独自のXMDF形式の電子書籍が、今後、いつまで持つのかということを心配している。

シャープと同じく、いまや世界の「負け組」電機産業となったパナソニックも2011年8月に、楽天と組んで「UT-PB1」という7型カラー端末を発売した。それ以外にも、NTTドコモの「SH-07C」や KDDIの「biblio leaf SP02」などの端末が発売され、2011年は電子書籍端末の花盛りとなった。だが私は、業界関係者以外でそれらを持っている人間を見たことがない。

こうした端末は、単に 持っているだけで通信料金がかかるうえ、アクセス先の電子書店にある電子書籍のタイトル数は、わずか数万点といったところだ。これでは、「買ってがっかり、使ってがっかり」だ。もし電子書籍ビジネスをしていなかったら、私は絶対に買わなかっただろう。

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