「結婚できないの俺だ」日本どうすんだ!!!

生涯未婚率の上昇は日本経済の深刻な問題だ

この生涯未婚層が今後高齢化していくことで、主に2つの問題が顕在化してくることが確実だ。ひとつは介護の問題だ。日本では介護保険導入後も、家族による介護が少なくない。配偶者もいなければ子どももいない生涯未婚者の老後は誰がみるのか。おカネを払って介護サービスを受ければよい、というのはあまりに楽観的な考えだ。

非正規社員の賃金は、正規の6割程度しかなく、現役世代から経済的に厳しい。特に老後は、退職金と年金により経済的格差が歴然としてくる。社会保障に詳しいみずほ情報総研の藤森克彦主席研究員によると、男性高齢者全体の相対的貧困率は18.4%だが、これを未婚者に限ると40%に跳ね上がる。つまり2つ目の問題とは、高齢未婚者の貧困だ。

このほかにも、未婚男性は親の介護が必要になったときに躊躇せず仕事を辞めてしまう傾向があり、自身の老後を迎えないうちに介護離職で貧困に転落するケースが起きている。また未婚男性と既婚男性を比べると、心筋梗塞による死亡が3.5倍など、あらゆる原因での死亡リスクが高いという調査もある。非正規男性を中心とする未婚者は、年齢とともに雪だるま式に不安を増していくおそれがあるのだ。

少子化原因の9割は結婚

そして未婚は、未婚者とその家族の不安を増大するだけではない。明治大学の安藏伸治教授(人口学)は、「人口減の要因は9割が初婚行動、つまり生涯未婚によるものだ」と指摘する。日本の場合、子どもの出生数は既婚女性の出生率(有配偶出生率)と、未婚女性が結婚する率(有配偶率)の2条件で決まる。このうち有配偶出生率は1980年以降、基本的に安定して推移している。にもかかわらず少子化が進むのは、未婚者が増えていることに原因がある。

結婚したくてもできないのは、本人だけの責任じゃなくなっている(写真:Graphs / PIXTA)

「保育園落ちた日本死ね!!!」というブログの言葉を機に、育児に対する社会的サポートの不足を少子化の要因とする議論が改めて高まっている。だが人口動態的にみると、すでに結婚している人への支援はやらないよりやったほうがマシ程度のものでしかない。子どもの出生数を少しでも回復させるには、結婚していない人に結婚してもらうことのほうが、はるかに効果が高い。

今、結婚適齢期の子どもを抱えている親世代の中には、「結婚はできて当たり前。結婚できないのは、相手を選り好みしているからだ」と考える人が少なくない。テレビドラマやニュースサイトが描く未婚者も、まさしくそのイメージが多い。確かに結婚は個人の意思決定に基づく自由な選択であり、非正規・低収入でも結婚している人は存在する。だが高まる生涯未婚率と、未婚者の属性をつぶさにみると、これらの数字が未婚者の能動的で賢明な選択の結果だ、と受け止めるのもあまりに単純すぎるのではないか。

貧困問題に詳しいNPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝典氏は、「結婚は本来、条件さえ整えば自然とできるものだった。しかし賃金や雇用などの条件が劇的に劣化した結果、結婚は多くの若者には手が届かなくなった。『結婚・出産ってぜいたくだ』という声が上がっている」と指摘。婚姻率を上げるには、雇用形態にかかわらず生活するに十分な賃金を保証することと、教育や住宅にかかるコストを下げて実質的な可処分所得を増やすことが重要だとしている。ニッポンの未婚の現実と、それに対する処方箋を、そろそろ真剣に考えるべきだ。

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