今どきの「仲良し同期」へのぬぐえない違和感 会社側は親しすぎる付き合いに困惑?

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ある製造業の人事部長は

「長年、人事部にいると将来の幹部候補を見極めることなんて簡単。ピンとくる感覚が養われていますからね」

と感性に任せて選んでいることを教えてくれました。

「選抜型」への現場の反応

現在の業績が高い人でも幹部としての役割を担えるか? 逆に現在の業績が芳しくなくても経営幹部としての器の大きさを感じることができれば、選抜型の教育に招待することはあるとのこと。いずれにしても選抜されたいのであれば短期的な業績よりも人間力を磨いたほうがいいようです。

ちなみに選抜型といえば部長クラスあたりが対象と思いがちですが、そうとも限りません。入社間もない若手社員からスタートしている会社も増えてきています。なかには入社1年目から選抜型プログラムを導入している会社もありました。新入社員研修の受講状況に応じて、

・標準的育成対象

・選抜型育成対象

に振り分けて、秋に行われるフォローアップ研修のプログラムを変えているのです。

たとえば、標準型の人には現在の自分の状況を振り返る機会やビジネスマナーや知識・スキルの復習などを中心に行いますが、選抜型の人にはリーダーシップを醸成する機会や経営陣からの薫陶などが加えられて、開催日時も1日多い内容になっていました。当然ながら同期で会話をしていると与えられたプログラム内容が違うことは気づかれるものです。

ある会社ではその件は同僚同士で話題になり、

「自分の受けた研修で経営陣の薫陶がなかったのは期待されていないからなのか?」

と落ち込む声が出たようです。ただ、選抜型で受講した同期が

「どうしてプログラムの内容に違いがあるのですか?違いによってモチベーションが落ちている同期がいます。これは問題ではないでしょうか?」

と人事部に抗議する展開に。これには人事部も大いに困ってしまったようです。「すでに育成面で差をつけたんだよ。君は将来の幹部候補として特別対応をしているのがわからないのか?」と本当は言いたいところ。でも、そうとは言えないので

「落ち込んでいる社員がいることは了解した」

と回答するに留めたようです。会社側の認識は、同期社員同士の競争意識が薄いというもの。だから差をつけることで競争意識が高まるきっかけになればとの狙いもあったようです。このケースではその思惑は外れてしまったようですが、それでも会社は横並びでみるとは限りません。ならば、将来の幹部候補と認識されるべく、選抜型教育を積極的に受けてみて、仲良し同期との関係についても一度考えてみてはどうでしょうか。異論反論も当然あると思いますが、将来のキャリアを考えるうえのひとつの考え方として、参考になればと思います。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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