デキる投資家が実践する「時間分散」とは何か 若者だけの特典「長い投資期間」を生かそう

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もうひとつの特徴は、投資を一定時期に行うと決めておくことで、人の心にある「もっと」という欲深い部分を抑制することができます。もっと安くなるかもしれないからと思って買うのを躊躇していると、値段が反転することはよくあります。自動的に毎月決まった日(たとえば給料日)に投資をするようにしておけば、投資をすること自体を忘れることができ、自分の感情が入り込むすきはありません。

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(出所)フィデリティ退職・投資教育研究所作成

しかもこれから30年間投資を続けることを考えてみてください。毎月投資すると、合計で360回の投資をすることになります。1回の比重はわずか0.28%にしかすぎません。だとすると、投資をスタートさせる第1回目の価格が高いのか、安いのかといったことは全体からみると、たいしたことではなくなります。いつでも始められるという点も、コントロールする上で好都合です。

多くの人にまだ知られていない理論

時間分散は効果があるにもかかわらず、あまり知られていないのも事実です。最近のアンケート調査結果からわかった2つのことをお話ししておきたいと思います。投資の考え方、特にリスクをいかに小さくするかという考え方には「長期投資」「分散投資」「時間分散」の3つがあります。これはすでにコラムでまとめてきたことです。

これは有効だと思うかを聞いたアンケート結果があります。このアンケートは2016年2月の後半に行ったもので、株価が大きく下落した後に行われたことでちょっと注目できます。その結果を、調査回答者1万2389人と投資をしている3911人に分けて集計してみました。

このアンケートからわかったことのひとつは、投資をしている人ほど3つの理論に対して有効だと理解している人の比率が高いということです。いずれの理論でも、アンケート回答者全体のほぼ2倍の比率で投資をしている人では有効だと考えているのです。

ただ、3つの理論について比較すると、「時間分散」に関する理解度はほかの2つに比べて大きく見劣りしていることがわかります。もちろん、時間分散の必要度が低いということではありません。金融機関では、「価格が下落しても持ち続けてもらう」ために長期投資に言及し、また「新しい商品を購入する」理由として分散投資を説明することは一般的になってきました。しかし、「投資金額を小さくしかねない」時間分散はなかなか説明するチャンスが少ないということが原因なのではないかと思います。

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