デキる投資家が実践する「時間分散」とは何か 若者だけの特典「長い投資期間」を生かそう

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だとすれば、「時間分散」を理解することこそ、ほかの投資家の一歩先を進む秘訣であるはずです。しかも必然的に長い投資期間を持っている若い人たちは、その時間さえ自分の「資産」と呼ぶことができます。若い人たちだからこそ「時間分散」の効用は一層大きくなります。ぜひ、「時間分散」について理解を深めてください。

その意味で、ここ数年で起きている傾向は好ましいものです。下にあるグラフを見てください。これは、過去5回実施してきたサラリーマンアンケートで、投資をしていない人にその理由を聞いた結果の推移です。

2010年には最も大きな理由が「投資するだけのまとまった資金がないから」というものでした。その次が「資金が減るのが嫌だから」です。しかし、2010~2016年にかけて毎年、「投資するだけのまとまった資金がないから」という理由が減ってきています。2016年の結果は2010年に比べて20ポイント近くも低下しているのです。

貢献大きいNISAの普及とDC制度

これは「まとまった資金がなくても投資はできる」という理解が進んでいることの裏返しではないかと思っています。少ない資金でも積立投資=時間分散を利用した投資ができるとわかってきたということではないでしょうか。その背景には、NISAの普及があるかもしれません。

NISAは少額投資非課税制度のことで、投資が「少額」でもできるということを広く認知させました。また、会社が毎月給料日に個人の年金口座に拠出をするという確定拠出年金(DC)制度は「時間分散」そのものを具現化したものです。この制度への加入者が、着々と増えていることも後押しているように思えます。

4回のコラムでお伝えしたかったことは、社会人生活のスタートラインに立って、自分の持っている、また将来持つことができる「資産」とは何かを広い視野で考えてみて欲しいということです。すべてそこから始まります。金融資産だけが資産運用の対象ではありません。「長期」の視点に立ってすべての「資産」を想定し、それを分散することでリスクを避け、収益を最大化する方策を身に付けてください。

野尻 哲史 フィンウェル研究所代表

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のじり・さとし / Satoshi Nojiri

一橋大学卒業後、内外の金融機関を経て2019年から現職。退職世代向けのお金との向き合い方に特化して情報発信を行う。『IFAとは何者か』(共著)など著書多数。

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