日本株が5月以降も上がるための条件とは? 「NYが高いと東京も高くなる」わけではない

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これからの季節、NYダウが上がっても日経平均は上がりにくくなる?(写真:ロイター/アフロ)

「円高で株安」「NYが高いから東京も高い」は本当か?

4月26日の東京市場では、日経平均株価が前日比86円安の1万7353円で取引を終えました。2日続落です。

日経平均株価は、いろいろな指標の変化を織り込んで上下します。例えば、為替が円高に進んだから日経平均が下がった、ニューヨーク市場が高いから東京市場も高いだろうなどと言われたりするわけですが、このように連動したり逆行したりする関係を相関関係といい、その強さは「相関係数」という値で表されます。

各種の経済指標と日経平均株価との関係は、指標が上がると株価も上がり、指標が下がると株価も下がるというように連動性が強い場合と、指標が上がると株価は下がり、指標が下がると株価は上がるというように逆行性が強い場合があります。

ところが、この関係はいつも一定ではありません。日経平均株価と経済指標との相関係数を調べてみると、1カ月ごとの値動きをまとめた月足で見ると数年ごとに、週単位の週足では指標によっては数か月ごとに、ある時は連動性が強く、またある時は逆行性が強くなり、相関関係は大きく変化していることがわかります。

このことから、経済環境が株式市場に与える影響を考える時には、それぞれの指標と株式市場の関係が、足元ではどうなっているのかを良く見極めた上で検討する必要があることがわかります。つまり、冒頭に例示した「為替が円高になったから」とか「ニューヨーク市場が高いから」といった固定的な考え方は、場合によって実情とは正反対の予想となっている可能性があるのです。

例えば、日経平均株価と長期金利との相関関係は、2014年には長期金利が低下(債券価格は上昇)すると株価は上昇する連動関係にありました。しかし、今年に入ってから関係が逆転、長期金利が上昇(債券価格は下落)すると株価が上昇する逆行関係にあります(下の図表では赤い線が16年以降上昇方向にあるのがわかる)。

では、長期金利の動向はどうでしょうか。実は、マイナス金利を導入した後、債券先物は151円と152円の間を行ったり来たりしており、何度も152円突破に挑戦したものの、その都度押し戻されてしまいました。週足で見ると、債券先物の上値は152円近辺で水平で下値を徐々に切り上げる「三角保ち合い」の形になっており、いよいよ煮詰まって、いつどちらかに放れてもおかしくない状況です。

もし、この先、長期金利が低下(債券価格が上昇)するのであれば、日経平均株価は値下がりしやすく、反対に上昇する(債券価格は下落)のであれば、日経平均株価は値上がりしやすいことになります。

一方、日経平均株価とダウ工業株30種平均(NYダウ)との相関関係はどうでしょうか。実は、2011年以降では毎年半年間はNYダウが高いと日本も高い連動関係にありますが、残りの半年はほとんど連動性が弱い(上の図表では青い線が下に向く)というサイクルを繰り返しており、足元は連動性が弱い時期に入りつつあります。

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