一方、駅の乗車人員は、人口約2700人の青森県今別町に建つ奥津軽いまべつ駅が平均約90人、約4500人の北海道木古内町にある木古内駅が約170人、そして終点・新函館北斗駅が約2000人だった。
東北新幹線各駅の2014年度実績と比べれば、新函館北斗駅は新白河駅(2041人・定期利用含む)とほぼ同等で、八戸駅(3598人)や新青森駅(4850人)よりは少なかった。また、奥津軽いまべつ駅と木古内駅はともに、いわて沼宮内駅(岩手県岩手町、人口約1万4000人)の85人を上回った。
先にも書いたが、これらは開業直後の一過性のデータでしかなく、大型連休や夏休み、秋の観光シーズン、冬の閑散期を通して、人の動きの変化が浮かび上がってくるだろう。同時に、JRグループや地元の施策によって、利用動向が良くも悪くも大きく変わる可能性がある。
在来線より延びた青函間の所要時間
短期間の利用データよりも、青函圏の人々が気をもんでいるのが、青森-函館間の時間距離の“延長”だ。
在来線当時、特急「スーパー白鳥」「白鳥」は約2時間で青森駅と函館駅を直結していた。現在、新青森-新函館北斗間は最速1時間1分。自家用車などで直接、駅へ乗り入れ、あるいは迎えに来てもらえる人なら、時間短縮効果は大きい。しかし、新青森駅は市中心部から約4km西に、新函館北斗駅は函館市中心部から約18km北に位置している。最終目的地に向かう場合、地元以外の多くの利用者や観光客は公共交通機関、特に在来線への乗り継ぎを選択するだろう。
平日に運行している定期列車13往復についてみると、函館駅と新函館北斗駅を15~22分で結ぶ「はこだてライナー」は、平均17分で新幹線と接続しているが、一部には30分を超えるダイヤがある。一方、青森-新青森間は1駅、乗車時間も4~7分しかかからないにもかかわらず、新幹線と在来線の接続時間は、上りは平均17分、下りは平均25分に達し、時間帯によっては40分以上の設定もある。
「函館と青森、弘前の商工会議所がアクティブに連携事業を展開しており、4月も打ち合わせの往来が3~4回続きますが、新青森駅の乗り換え時間が長く、困惑しています」と函館商工会議所の永澤大樹・新幹線函館開業対策室長。青森-函館間の平均所要時間を在来線時代と比較したところ、11分増加していたという。「弘前市や八戸市へ出向く際は利便性が向上しているのに、青森市に対しては乗り継ぎ回数も所要時間も増え、しかも料金が高くなった。青森市内でのスケジュール立てが本当に難しい」とこぼす。
とはいえ、青森市の人口の規模と分布をみると、青森-新青森間のシャトル的な列車運用が増益に結びつくとは考えにくく、列車増発は望み薄だ。同区間は単線の上、新青森駅の在来線ホームは1面2線しかなく、貨物列車とのダイヤ調整も難しい。JRグループにとっても、在来線接続は悩ましい課題のようだ。
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