ガストが焼肉、しゃぶしゃぶ店に変わる理由 すかいらーく谷社長に戦略を聞いた
――伸び悩んでいる客数を引き上げるために、2016年は低価格のメニューに力を入れている。
店を選ぶとき、単価の問題は大きく影響する。2016年は軽減税率の適用拡大や、来年に控えた消費増税の準備をしなくてはならない。専門業態については堅調に推移すると思う。最も影響を受けるのは、ガストのような使い勝手のいい業態だろう。
ガストでは、2月25日にランチタイムメニューを変更した。ランチメニューは主婦の利用率が6割近くになっている。主婦層は価格に対する価値と、健康的に食事ができるかということに関心を持っている。そこで、価格は変えず、付け合わせの野菜を変更したり、メニューのバリエーションを増やしたりして、ブラッシュアップした。
メインメニューは、500円の商品を増やすなど、売価の安い商品の比率を増やしている。7月のメニュー改定では、糖質制限の食材を新たに投入する。たとえば、ラーメンの麺を選べるようにする。
また、家庭で調理されなくなった揚げ物類をメニューに加えれば、宅配ビジネス、テイクアウトの売上高拡大につながる。
ガストで行う実験は「データ主義」
――ガストの新業態をオープンするそうだが。
若い家族客に「ファミリーレストラン」をもっと使ってもらえるよう、3月末からガストの実験店で家族客向けのメニューを導入した。単価を抑え、ボリュームのあるメニューだ。
家族客はメインディッシュとごはん・パンという注文をする。あるいは、ピザをシェアしたりする。そこで、実験店では、豚ロースのとんかつや若鶏の竜田揚げをメインディッシュとして導入した。199円のサイドメニューも増やしている。
夏場の商盛期を経て、支持されていることがわかれば、来年以降の予算に入ってくる。導入の候補になるのは、人口が減少傾向にある地方のガストか、若い人の来店頻度を確保する目的で、駅前のガストになる。
――以前に実験した、若者向けのがっつりメニューは失敗だった。
あれは失敗だった。若い人もかなり健康に気を遣っていることがはっきりした。単にボリュームがあるだけのメニューは支持されない。昨年、全店で半年以上実験をして、それでは客数が増えないことがはっきりした。
失敗はしこたまあるが、決定的な失敗に至らないのは、すべて実験しているからだ。実験は各業態でやっている。たとえば、北陸の地酒を使って「ちょい飲み」がもっと増えるかどうかとか。それから、しゃぶしゃぶの価格実験だ。安いものと、よりプレミアムの豚肉を置いた場合を試したが、プレミアムのほうが成績がいい。失敗した実験の結果をお知りになりたければ全部出しますよ(笑)。
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