三菱自動車の不正行為が株式市場に水を差す 株価上昇への期待が高まっていただけに残念
最近の売買高は低迷気味だ。20日の東証1部の売買代金は2兆2393億円と、第1四半期(1~3月)の1日平均である約2兆5600億円に届いていない。結局、最近の株価上昇は先物市場でショートポジション(売り持ち)を保有していた投機筋が、株価上昇で機械的に買戻したに過ぎなかったとの指摘もある。
さらに、21日にはECB理事会、26・27日には米連邦公開市場委員会(FOMC)、27・28日は日銀金融政策決定会合が開催される。主要中銀による金融政策には大きな変更はない見通しだが、これらの会合を前に動きづらくなることも十分に想定される。
筆者は、株高を金融政策に頼る時期はすでに終わったとみており、これらが本質的な株価材料になるとは考えていない。株価は当面は落ち着きを取り戻し、安定的な動きになるかもしれないが、それはあくまでイベント通過までにとどまることも想定される。産油国会合で増産凍結合意がなされなかったことによる原油相場への下落圧力が残る中、原油相場との連動性が高い米国株が高値を維持できるかは不透明である。
高値水準に戻した米国株だが急落リスクも高い
ダウ平均株価は1万8000ドルの大台を回復し、約9カ月ぶりの高値水準にある。昨年5月に付けた過去最高値が視野に入るほど戻したが、さすがに警戒感が高まるだろう。「Sell in May」の時期が近づく中、持続的な株高を期待しづらくなる可能性がある。
さらにいえば、今年は米大統領が8年目の任期を務める、米国株式市場にとって非常に危険な年。本欄でも繰り返してきたが、今年のように米大統領が2期・8年を務める場合、最終年の株価は年間で平均14%下落している。現在の米国株の戻りが、あくまでカラ売りの買戻し主体であるとすれば、その後の急落リスクはすでに相当大きなものになる可能性がある。
日本株も割高感が鮮明になりつつある。日経平均採用銘柄の一株当たり利益(EPS)は1100円を割り込んだ。最近はEPSが毎日のように切り下げられており、いずれ1000円割れも視野に入るだろう。これまで企業業績見通しに強気一辺倒だった一部の大手証券会社も、さすがにこれ以上に強気見通しを維持できなくなっている。現実的には、ドル円相場が115円以上にならない限り、今年度の輸出企業の減益は確定的であろう。
そう考えると、現在の堅調に見える株価動向を正当化できる材料はほとんどない。米国株が崩れた場合には日本株の割高感が再度意識され、株価は再び調整に向かう可能性がある。連休前の株価動向には十分注意したい。
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