「裏切り」への反発が米大統領選を突き動す 希望唱えたオバマのような候補はもういない

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米大統領選の民主党候補に名乗りを上げているサンダース上院議員(写真: ロイター/Brian Snyder)

裏切られたという強い思いが、2016年の大統領選を突き動かしている。共和党候補を目指すドナルド・トランプ氏の選挙運動は常に怒りに満ちてきたが、現在では、同じような怒りの感情が民主党のバーニー・サンダース氏の選挙運動でも示され始めている。

残っているどの候補からも、2008年のバラク・オバマ氏のような、希望や楽観に満ちたメッセージは聞こえてこない。マルコ・ルビオ上院議員 (共和党、フロリダ選出) や元フロリダ州知事のジェブ・ブッシュ氏は希望を語ろうとした。しかし結果は見ての通りだ。

ティーパーティー運動の頃から

裏切られたとの気持ちが共和党側に出始めたのは、トランプの選挙戦よりもかなり前、2010年のティーパーティー運動の時だ。この運動で共和党員は、オバマ大統領の政策を阻むべく選出したワシントンの共和党議員に裏切られたと主張。エリック・カンター元下院院内総務やジョン・ベイナー元下院議長が、保守の理念を曲げたとして非難された。

トランプ氏の選挙キャンペーンは、テキサス選出のテッド・クルーズ上院議員を支持するような保守運動から生まれたものではない。共和党内でトランプを支持しているのは、理想的保守主義者よりも広い層の人々だ。

彼は共和党から疎外されたと強く感じている多数の白人労働者に訴えかけている。共和党の指導者らは貿易や移民、社会保障給付などの点で、そうした支持者を無視してきた。トランプ氏はその不満を煽っているのだ。

保守主義者は長い間、裏切られたという強い感情を抱いてきた。1950年代にはジョセフ・マッカーシー上院議員が政府高官らを裏切り者の共産主義者だと告発。1990年代に共和党大統領候補の指名獲得を目指したパット・ブキャナン氏は、既得権益層がレーガン元大統領の遺産を裏切っていると主張した。

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