支援物資が届かない!熊本が陥った「悪循環」 東日本大震災の反省は生かされなかったのか

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「物資不足」の訴えを受け、主に福岡県の物流拠点から民間業者が市町村に直接、支援物資を送る枠組みが18日、ようやく出来上がった。政府からの支援物資は佐賀県鳥栖市にいったん集め、警察車両が先導することも決めた。九州地方知事会も18日、熊本県内の被災市町村ごとに、各県が担当を決めて支援する仕組みを整えた。

被災者の生活環境は刻一刻と悪化している。支援物資のスムーズな分配には被災者の命がかかっている。

自衛隊機は「使えない」ではなく「使わない」?

支援物資が届かないもう一つの原因は、交通インフラの遮断による渋滞だ。九州道は植木インターチェンジ(IC)−八代IC間が不通になっており、九州道や福岡方面と熊本をつなぐ国道3号は大渋滞となっている。

なぜ輸送ヘリによる空輸ができないのか。18日、米軍の新型輸送機オスプレイ2機が初めて支援物資を空輸したが、自衛隊は輸送だけで80機以上、救難や哨戒などの用途を含めると約530機のヘリを所有している。

防衛省は「熊本地震では延べ291機を投入している」とするが、人命救助を優先させており、「輸送にどれだけ当てているかは把握できていない」(統合幕僚監部)。中谷元・防衛相は18日の参院決算委員会で、「自衛隊が持っているヘリなどの運用をもってしてもまだ十分に行き届いていない」と答弁した。

九州には、ヘリ部隊がある佐賀県の陸自目達原駐屯地をはじめ、ヘリが離着陸できる基地は多くある。軍事ジャーナリストの神浦元彰氏は「東日本大震災の時は8割の自衛隊機を投入した。自衛隊機を『使えない』のではなく、政治が『使わない』だけではないか」と現在の運用を批判した。

河野太郎防災担当相は18日、物資輸送について、記者団に「自衛隊の航空部隊を最大限、活用していきたい」と明言した。

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