ソニーが医療参入も立ちはだかる高い壁 ソニーらしさが裏目?

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

 

東大病院の藤城光弘医師は「高精細かつ立体的な画像は医療現場でもニーズはある」と期待する一方、「現状の2Dとは違うため、混乱や現場の抵抗で移行に時間がかかる可能性がある」と指摘。ハイエンド市場への浸透がうまく成功すれば、“ソニーらしい”差別化要因になるが、現場のニーズと乖離したままになると、期待外れになりかねない。

第二に製品開発ロードマップが読みにくいのもネックだ。新会社では設立後2~3年で新製品を市場投入するとしているが、これまでにない技術を採用した医療機器の場合、各国当局からの認証期間が年単位に及ぶ可能性がある。家電と異なり、医療機器は人体内部に入るため、医療事故などのリスクも高まる。当初描いたとおりに製品開発できるかは未知数で、開発費が先行する期間が長期に及ぶことは否めない。

外資系証券アナリストは「医療技術のハイテク化に伴い、ソニーが参入する必然性はある」としながらも、「医療事業がどこまで成長するかまったく予測できない」と見る。

第三にそもそも、オリンパスとの提携関係自体が微妙だ。現状の2D内視鏡はオリンパスが単独で事業を続ける方針で、合弁会社とは別に、20年に外科用内視鏡シェア3割の目標を掲げている。

笹社長はソニーについて「安定株主という位置づけ」とそっけない一面も見せる。オリンパスは自力再建も一時模索し、今回ソニーの出資比率を11%に抑えたフシがある。提携内容はあいまいな部分が残ったままで、ソニーがのどから手が出るほど欲しい販路やノウハウをどこまで開放するかはこれからだ。

ソニーの平井社長は「オリンパスの顧客基盤と技術を生かし、新しい統合ソリューションを開発する」と意気込む。が、念願の医療事業拡大の前には、高い壁が立ちはだかる。

ソニーの業績予想、会社概要はこちら

[+画面クリックで詳細チャートを表示]


オリンパスの業績予想、会社概要はこちら

 

[+画面クリックで詳細チャートを表示]


(本誌:前田佳子 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済2012年10月13日号)

 

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事