ソニーが医療参入も立ちはだかる高い壁 ソニーらしさが裏目?
ソニーがオリンパスと資本・業務提携して医療事業に本格参入する。
10月1日午前の共同記者会見で、ソニーの平井一夫社長は「一日も早く医療をソニーの柱にする」と力強く宣言。オリンパスの笹宏行社長は「これまでにない画像を出せる医療機器が必要」と、ソニーの高い技術への期待を示した。
ソニーの医療事業は現状で内視鏡向けのカメラモジュールやモニタ、プリンタといった周辺機器を扱う程度にとどまっており、売上高は数百億円程度にすぎない。今回の提携を機に、手術関係など本格的な医療機器メーカーへの脱皮を図る公算だ。
ソニーは自己資本比率が1ケタ台に低下していたオリンパス本体に500億円出資し筆頭株主になったうえで、12月中にオリンパスと合弁会社を設立。ソニーが過半出資して社長も送るなど主導権を握る。新会社は外科用内視鏡に特化して2020年までに売上高700億円、世界シェア2割を目指す。さらに、ソニーグループとして医療事業全体で売上高2000億円以上を目標に掲げるなど野心的だ。
だが、熱い思いとは裏腹に1日の東京株式市場は冷静だった。資本増強が好感されたオリンパスの株価が上昇する一方、成長シナリオが見えにくいソニーの株価は下落し、明暗を分けた。
ソニーらしさが裏目?
第一に懸念されるのが、皮肉にも技術力への過信だ。新会社では、ソニーの保有する「3D」(3次元)と高精細映像「4K」の技術を採用した世界初の外科用内視鏡に特化する方針だ。現状でオリンパスが世界シェア7割を握る消化器系内視鏡は対象に含まれておらず、まさに一からの立ち上げとなる。