北海道新幹線「低乗車率」には3つ誤解がある 「満席」には決してできない本当の事情
元来「はやぶさ」というのは2011年にE5系列車が導入されて以来、「東京~新青森間」の速達型列車として設定されたものだ。議論の分かれるところではあるが、県庁所在地である宇都宮と福島は停車せず、主として「首都圏・仙台・盛岡以北」を最速で結ぶことを目的としている列車である。
今回の新函館北斗開業では、基本的にこの「はやぶさ」を新青森から新函館北斗に延伸したダイヤとなっている。ちなみに、北海道新幹線に乗り入れない新青森止まり、あるいは盛岡止まりの「はやぶさ」というのも多少残っているが、過半数は新函館北斗まで直通する。
ということは、「北海道新幹線の東京発新函館北斗行き『はやぶさ』」が、仮に「東京から北海道新幹線まで通して乗る」乗客が100%になってしまうと、仙台まで、盛岡まで、新青森までといった乗客は溢れてしまうことになる。
現状については、例えば私が開業日に乗車した経験で言えば、大宮までの時点では80%程度の乗車率で、それが仙台で半分降り、更に盛岡でも降りて、新青森になって「開業初日の北海道新幹線に乗る」という鉄道ファンがドッと乗ってきたという感じだった。
またその日の午後に東京に戻る際にも、新函館北斗では40%ぐらいの乗車率だったのが、新青森、盛岡でどんどん乗ってきて、仙台では満員というような状況だった。これは、翌週にもう一度乗った時も同じような傾向だった。
乗車率が向上しても増発できない
ということは、現在のように「はやぶさ」が東北新幹線の速達型という位置づけを兼ねている中では、北海道新幹線の乗車率は100%にはならないし、その必要もないということになる。
3番目の問題は増発の問題。仮に今後の経営努力、営業努力で北海道新幹線の乗車率が向上したとすると、東北区間の需要がオーバーしてしまうわけだが、では、「東京~新青森」などの増発ができるかというと、それは難しい事情がある。
というのは、現在の大宮以南の状況に問題があるからだ。まず、地域住民との厳格な取り決めとして大宮以南の区間は「時速110キロ規制」というのがかかっている。これは建設許可の条件になっているもので、その後の路盤や車両の性能向上で騒音や振動は改善されているにしても、容易には変更はできない。
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