グーグル・ネクサス7、利益度外視の戦略は通用するか 国内でも熾烈な争い

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米調査会社のアイサプライによるとネクサス7は利幅が極めて薄い製品。組み立て工程の費用を入れた原価は166.75ドル(約1万3000円)。当初から搭載したアプリのライセンス料などを入れて換算すると、利益はわずかに出る程度だという。

 ここまでしてグーグルが価格を抑えることができるのは、グーグルのビジネスモデルに起因する。グーグルは11年度の売上高379億ドルの97%は広告収入。その他の収入はたった3%だ。スマートフォンの7割のOSのアンドロイドも無料で配布しているため、直接的な収益への貢献はない。

こうした事業は、ネット企業にしては多い対売上高比率13%の研究開発費が支えており、グーグルの広告収入を伸ばすための手段と位置づけられる。今回のネクサス7もそれ自体で利益を生む事業である必要はなく、ネクサス7を通じてグーグルの広告を目にし、運営するサービスを使う人の数を増やすことを狙う。

一方でアップルはiTunesなどコンテンツ販売をしているが、売上高の8割以上は端末の販売で成り立っており、機器販売から得られる利益が大黒柱だ。ネクサス7のような価格付けでは、アップルは消耗戦を強いられる。根本的な事業モデルの違いが、価格競争上のグーグルの強みでもある。

2012年タブレット戦争が勃発

もっとも、だからといって日本でのグーグルのシェア獲得が約束されているわけでは決してない。アマゾンも小型で低価格のタブレットの国内投入の時期をうかがっている。アマゾンが米国で今月発表した新型タブレットのキンドルファイヤHDは現地販売価格199ドル(約1万6000円)。アマゾンは日本国内のキンドル発売を「近日公開」としているだけだが、「今年中に発売される」(出版業界関係者)との見方が強い。

 

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