「アイフォーン5」投入 反撃に出るアップル

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「アップルがこれまでに作った中で最も薄い製品。さらにすべてのスマートフォンの中でも最も薄い製品だ。機能を進化させるだけであれば容易。それを小さく軽量に仕上げることに挑戦した」(フィル・シラー上級副社長)。

過熱するシェア競争

この新製品によりアップルが目指すのは、「打倒サムスン」だ。

米IDCの調査によると今年4~6月期でのスマホにおけるサムスンの世界シェアは32・6%と、16・9%のアップルの2倍に達した。前年同期はアップル18・8%、サムスン17・0%とアップルがリードしていたが、サムスンは低価格化戦略(米国ではアイフォーンのおよそ半額で販売)により一気に抜き去った経緯がある。

サムスンなどライバルに対抗するうえでカギを握る機能アップが、超高速通信ネットワーク(LTE)への対応だ。すでにサムスンやHTCはこぞってLTEに対応している。これがアップルのシェアダウンの要因にもなっていただけに、LTE対応は極めて重要なポイントだ。

アイフォーン5は9月14日からインターネットで予約を受け付け、21日には日米を含む主要9カ国・地域で発売する。日本では4Sと同様、ソフトバンクとKDDIが販売し、年末商戦に向けての主柱に据える計画。両社とも、アイフォーン発売当初からLTEに対応する。

すでに見慣れた光景となったが、今回も発売前からアップル直営店や通信事業者の販売店には長い行列ができるのは間違いない。世界シェアトップ奪回へ向けた、アップルの新しい挑戦が始まる。

(本誌:山田俊浩 =週刊東洋経済2012年9月22日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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