iPhoneロックを解除したスゴ腕企業の正体 米国に協力したのはサン電子の子会社だった

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それまでモバイルコンテンツ配信事業の強化を考えてきたサン電子にとって、モバイルデータ(コンテンツ)トランスファー機機を手掛けるセレブライト社の買収は、業容拡大やモバイル関連事業の成長につながると考え、すぐに買収を決意し、2007年4月から早速交渉に入った。

他のオーナーとの交渉に時間がかかり、買収(セレブライト社株式の90.6%取得)が最終的に成立したのは3カ月後の2007年7月になったが、 交渉のベースになったのがセレブライト社の急成長が始まる前の2006年の業績だっため、買収金額は20億円弱で済んだ。

セレブライト社のモバイルデータ(コンテンツ)トランスファー機器は、ボタンひとつでスマホに保存されているデータを、他のスマホへ転送することなどに必要とされる機器で、携帯販売店や犯罪捜査機関が主要顧客になっている。

買収当時、2006年12月期のセレブライト社の売上高は12億円超、経常利益は3億円弱、従業員数は40人に満たなかった。が、トランスファー機器の需要の伸びや、世界へ販売網を拡充したことで、2015年12月期の売上高は120億円を超え、営業利益は25億円以上、従業員数は350人以上へと急成長している。

犯罪捜査でインターポールと協力

セレブライト社のトランスファー機器は、世界のほとんどの携帯電話、スマホに対応できるのが大きな強みだ。常にアップデートサービスを行っているため、市場評価も高く、一般市場では90%、犯罪捜査においても60%という圧倒的に高いシェアを握っている。犯罪捜査分野では、インターポール(国際刑事警察機構)加盟国200カ国の捜査関係者に対してトレーニングを行っている。

サン電子のパチンコ事業は環境が悪化しつつあり、今やセレブライト社のモバイル事業が全体業績を牽引している。サン電子の前2015年3月期の売上高は273億円、営業利益は23億円と、セレブライト社を買収した2008年3月期から売上高は2.3倍、営業利益に至っては4倍になった。

2016年3月期は、モバイル事業の大幅増員や開発費の増加が響いてサン電子の営業利益は6億円に落ち込む見通しだ。だが、セレブライト社の実力をあらためて世界に知らしめたことは、今後のビジネス展開にプラスに働くことは間違いない。

堀越 憲二 東洋経済 記者

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ほりこし けんじ / Kenji Horikoshi

機械、電気機器などの業界を幅広く担当

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