日系LCC、3社そろって黒字化でも尽きぬ不安 経営が安定飛行へ移るには難題が残っている

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ジェットスターは路線整備の遅れに固定費の重さが重なった

日系3社が参入し、「LCC元年」とされたのが2012年。関西国際空港を拠点とするピーチ・アビエーションは、地元財界のバックアップもあり、翌2013年度に黒字を達成した。

が、成田を拠点とする2社は路線網の拡大が思うように進まず、赤字が続いてきた。特にジェットスターは、早い段階から成田に加えて関空にも拠点を置こうとしたものの、整備体制の構築に手間取り、関空の拠点化が1年半以上遅れた。

さらに、就航当初から多くの機材を配備し、先行者利益を取りに行くという豪本社の戦略の下、毎月のように新機材を導入。路線が広がらないのに、機材が増えるばかりで、稼働率は低迷。3期連続で大赤字を垂れ流し、カンタスとJALに巨額の増資を仰ぐ事態となった。

2015年になって、ようやく路線網の整備が一段落。旅客数は、バニラが前年同期比で6割増(4~12月)、ジェットスターも同2割増(7~12月)を記録した。

搭乗率も、バニラが同8.8ポイント増の85.7%、ジェットスターが同9ポイント増の84%と改善。共にLCCの採算ラインとされる80%を上回った。

新たな主戦場は国際線へ

黒字化にメドがついた日系3社。この先、国内で採算が見込めそうな新たな就航先は限られており、主戦場は国際線へ移りそうだ。

これまでは韓国や台湾、香港が主だったが、今後は中国本土やグアム、サイパンなどへの乗り入れも考えられる。中でも注目されるのが東南アジア路線だ。

ジェットスターは3月15日、成田─マニラ線を開設。日系LCCとして初めて東南アジアに乗り入れた。「日本からのリゾート客だけでなく、ビザ緩和が後押しして訪日客も増えている」(片岡会長)。

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