ジェネリック薬品の性急な拡大は新薬開発に重大な影響も



 業界全体で12年には03年比で5~6倍の能力増強となり、態勢が整えば収益向上が見込まれる。利益水準が上がれば価格低下も可能になる。これは国民にとってもメリットだ。

だが、「なりふりかまわないジェネリック薬の拡大は、日本の新薬開発に重大な影響を及ぼす」と東京大学大学院薬学系研究科の松木則夫教授は心配する。新薬からの収益が十分に上がらなければ、次の新薬開発に投資ができない。世界的に開発費の増大が新薬メーカーの経営を圧迫している状況で、日本企業だけが安泰なわけはない。

疾病とその治療薬には地域や民族による特性がある。自国民の特性に合った新薬開発がなければ、国民の健康を守ることはできない。

現状では、いずれ国内の新薬開発は衰退し、海外メーカーに市場を席巻されると懸念する向きも多い。そしてそのとき、欧米メーカーは、アジア人の医薬品拠点として市場規模の大きい中国に注目すると予測される。そうなれば、日本人に合う医薬品は開発されなくなってしまう。

「育薬」という考え方がある。発売開始後にも患者から情報を収集し製品の改良に役立てるという考え方で先発薬では一般的だ。その中にジェネリック薬の普及も組み込んで考える必要がある。

(小長洋子 =週刊東洋経済)

ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 赤木智弘のゲーム一刀両断
  • ソロモンの時代―結婚しない人々の実像―
  • 「若き老害」常見陽平が行く サラリーマン今さら解体新書
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
小野薬品vs.本庶京大教授<br>大型新薬めぐり深まる溝

本庶佑教授と小野薬品工業がタッグを組んで生み出したがん免疫治療薬「オプジーボ」。ところが、本庶氏が特許の正当な対価として150億円の支払いを求め、小野薬品工業を提訴する方針を固めた。両者の関係はなぜこじれてしまったのか。

  • 新刊
  • ランキング