なぜ「海外事例の輸入」はうまくいかないのか

行政が主導する「日本型○○」の不都合な真実

BIDやTCMというものは、行政ではなく、都市部の不動産オーナーや店舗オーナーが自ら投資して活性化事業に取り組むものです。民間が資金を出すからには、稼いで元を取ろうと必死になるため、成功事例が生まれる。これらは「都市で稼ぐための組織」なのです。

しかし日本型TMOは、地方自治体が計画を出して、国が認定、必要な予算を補助金として出すという、欧米の仕組みとはまったく異なる仕組みになりました。結局は、地方の商工会議所と自治体などといった古典的な組織が補助金もらうために、形だけ「TMO」を作りまくりました。そして、補助金を食い散らかした後に、約5年で事実上廃止となりました。

最近では、高齢者を地方に移住させる日本版CCRCといったものも類似例です。こちらも欧米では民間中心の高齢者向けビジネスなわけですが、日本では地方自治体などが高齢者住宅を作るための補助金、交付金獲得のネタとなってしまいました。

日本が誇る高度な「骨抜き」システム

海外でやっているモデルを日本に輸入する「日本型◯◯」が日本人は大好物。一方で、それらが日本でマトモに機能したものを見たことはありません。

どのように海外の事例が日本に入ってくる過程で骨抜きになるのでしょうか。日本が誇る、海外事例の「骨抜きベルトコンベア」を見ていきましょう。

(1) 欧米にあって、日本にないものが「問題」となる

欧米事例が大好きな日本。欧米でやっているのに日本では取り組んでいない、というのが、日本が立ち遅れている、問題だ、となる。導入すれば問題解決、と安直に考える。

(2) 「制度」から議論が開始

欧米においては、民間主導での事業が出発点となり、事業が発展して組織が立ち上がり、最終的に民間組織が政治的に動いて制度化を果たす。しかし、日本では、欧米の「制度」ばかりに注目がいき、日本版制度をどう作るかという話からスタート。制度ありき、組織は制度の道具、事業の話は後回しとなる。

(3) 行政依存の既存組織の「合意形成」が優先

日本への導入にあたり、業界団体の委員会などで検討がなされる。今までの組織は、既存組織を尊重するような組織制度と補助金の要求を行い、国としても配慮。

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