ホークス新拠点「選手と共に育つ街」の大勝負 周辺地域の力を結集、山積みの課題に挑んだ

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「市の広報誌でも工事の概況はお知らせしていたんですが、どこから情報を得ているんだろう、というくらい、みなさん詳しかったですね」と串田さん。江崎さんも「市民にとって若い選手達は、兄弟や子ども、孫みたいな存在になるでしょうね。都会ではあまり味わえない『家族のような温かさ』が、選手にも伝わるといいですね」と語った。

3月18日には、水上善雄・2軍監督と新入団選手11人を招いて、市主催の歓迎イベントが行われた。人口のおよそ4人に1人が65歳以上という同市にとっては、若鷹たちを住民として迎え入れ、市のイメージを活気あるものにすることにも大きな意義があるだろう。

メイン球場である「タマホームスタジアム筑後」はフィールド両翼約100メートル、中堅約122メートルと、1軍本拠地「福岡ヤフオク!ドーム」とほぼ同規模。大型LEDビジョンも備え、1軍戦さながらの環境で野球観戦を楽しめるのが特徴だ。これまでの本拠地になかったナイター設備もそろえ、夏には夜間の涼しい時間帯に試合を行うことも可能になる。

屋内練習場はガラス張りで、選手の練習風景を外から見ることができる。また、「家族や仲間と1日楽しめるボールパーク」をコンセプトに作られた施設内には、フードコーナーやグッズショップも完備。開業に合わせてファーム独自のキャラクターも誕生し、試合時のファンサービスも充実させるという。

筑後七国の観光政策も一気にテコ入れ

開業に合わせ誕生した、ファーム専用の球団キャラクター「ひな丸」

「誘致には周辺地域と一緒に取り組みました。ですから、駅もファーム施設も筑後市にありますが、周辺地域も一緒に盛り上がっていかなければ意味がありません。県外など遠方から遊びに来る人には、筑後市だけでなく、周辺の地域でもいろいろと楽しんでもらえるよう努力したいと考えています」(江崎さん)

とはいえ、目の前に新幹線の駅があるといっても、停車する列車は朝夕を除き1時間に1本。普段は駅前の人影もまばらだ。JRには毎年要望を出しているが、「利用客が増えれば停車する列車を増やす」という回答が続いているという。

この状況から早期に脱却すべく、筑後市はホークスファームとは直接関係のない部分でも攻勢をかける。筑後船小屋駅を起点に周辺エリアの観光を促せるよう、今年2月には駅に観光案内所をオープンした。

「筑後市には縁結びで知られる『恋木(こいのき)神社』があり、駅前にある『九州芸文館』や温泉施設『恋ぼたる』も女性に人気が高いので、女性をターゲットにした観光PRを強化しています。筑後七国でもそれぞれの特色を生かした観光ルート開発に取り組んでいますが、今後はその中にファーム施設も組み込まれる予定です」(串田さん)

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