【産業天気図・建設機械】建機業界は総需要半減の緊急事態。が、企業には耐久力あり


需要予測を下方修正した最大の原因は北米と欧州市場にある。09年度後半に回復が期待されていた北米は、今年いっぱいは立ち直れそうもない。欧州はもっと深刻だ。中国はじめ一部のアジア需要がいくら旺盛でも、先進国市場の減退を補うにはボリュームがまだ不足している。

中東、ロシアなど資源新興国の立ち直りが見えないことも痛い。1年前までは、こうした新興国を中心に国内の中古建機が飛ぶように売れ、中古を売った国内レンタル業者が新車を買って補充する、という“正の増販サイクル”が働いていた。それが今、国内業者は中古が売れないから新車を買えないという“負のサイクル”に逆転している。
  
 需要激減を受け、この8月末にはホイールローダーとフォークリフトの老舗であるTCM<6374>が、日立建機<6305>の完全子会社になると発表した。親の日立グループ再編の一環ではあるが、TCMは巨額赤字で財務が悪化、銀行借り入れの財務制限条項に抵触する事態に陥っていた。また4月には、ミニショベルで欧州随一の知名度を誇る竹内製作所<6432>が、信用を補完し、未開拓の新興国市場に販路を拡大するために、豊田通商<8015>との資本提携を強化している。

ただ、全体の出荷額が07年度の2.4兆円から09年度に1.1兆円と半分以下に落ち込みながらも、業界を本格危機が襲い再編淘汰の嵐が吹き荒れる、ということにはなりそうもない。

日本の建機は01年度に年間出荷金額が1兆円を割る時代を経験、このときの大リストラによって体質改善が進んでいる。また、今回の需要減に対し、建機業界は驚くほど素早くかつ大胆に減産を実行、流通段階も含めて在庫の膨張が見られなかった。そのため、多くの企業では財務体質が引き続き安定している。少なくともコマツ<6301>、日立建機の主要2社は、今10年3月期は減額修正を迫られながらも、黒字決算を維持すると見られる。

(山崎 豪敏)

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