アメリカ政府は鳩山政権を不安視していない--リチャード・カッツ

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米国離れではないと米政府は理解している

米国でもオバマ大統領を含め多くの人が、今日の危機を引き起こした一因の「市場原理主義」を批判している。鳩山氏のスタンスからは、経済関係で米国と距離を置こうという意図は読み取れない。

新任のキャンベル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は、日米関係を危惧する声に反論して、鳩山・オバマ電話協議の直後にこう述べている。「民主主義が変わるのは難しく、時間がかかる。変化の道のりは平坦ではないが、日米同盟の基本は、あるべき位置にとどまるだろうと確信している」。

鳩山氏が主張する「対等」のパートナーシップは、日本のアメリカ離れを意味するのではないかとの問いにキャンベル氏は、「同盟が適切に維持されるためには、一定の独立性と自国に対する矜持が不可欠だ。米国はこれを当然だと考えるし、そのことと日米両国がビジネスを続けることにまったく矛盾はない」と答えている。日本が中国や韓国との距離を縮めていることに対しても、「そうなってほしいし、それを支持する」と付け加えた。

筆者が複数の関係筋に確認したところでは、キャンベル氏が公に語ったこのコメントとオバマ政権の政策チームの見解には、まったく違いがない。

Richard Katz
The Oriental Economist Report 編集長。ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ等にも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。当コラムへのご意見は英語でrbkatz@orientaleconomist.comまで。

写真:Official White House Photo by Lawrence Jackson

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