【産業天気図・ビール・食品】加速する低価格化と忍び寄る需要減・・・いよいよ大再編時代へ突入へ
そうなると、アサヒビール<2502>とサッポロホールディングス<2501>の動きも注目されるところだが、サッポロは8月に飲料大手のポッカ(未上場)と提携、同社自販機にサッポロ飲料製品を相乗りさせるほか、共同調達や配送などにも乗り出すと発表した。一方で、アサヒは当面、苦戦気味の韓国や中国事業の立て直しや、豪州飲料大手シュウェップスとの相乗効果拡大など海外事業強化を急ぐ一方、国内ではベビーフードの和光堂(未上場)など小規模ながら個性的な企業との連携に力を注ぐ考えだ。
いずれにしても、ビールで稼げる時代はとうに終わり、引き続き総合食品化と海外強化が業績を左右していくことになる。
一方、調味料や加工食品は、不況や新型インフルエンザの影響による内食回帰が追い風となり、にわかに需要増に沸いているほか、原材料価格が前期比から下がっていることもあって、4~6月期は軒並み高い水準の営業利益をたたき出した。
ただし、足元では「消費低迷の影響が下期から忍び寄ってくる可能性もある」(大手食品)との見方も浮上中。さらに、低価格化志向が進む中、パンやカップ麺、カレールウまで安価なプライベート・ブランド(PB)商品が広がっており、今後一段と競争が激化することは間違いない。
海外に目を転じても、食は地域性が高いために、一朝一夕で海外事業を拡大するのも困難だ。長年かけて足掛かりを作ってきた味の素<2802>やキッコーマン<2801>、ヤクルト本社<2267>などはともかく、海外経験の浅いメーカーが進出して成功するのはそれなりに時間もおカネも必要となってくる。
そういう意味では単独で進出するより、国内外問わず業務・資本提携相手を探る動きが一段と活発化してもおかしくないだろう。
(倉沢 美左)
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