アジアと南米で大ウケする「着物ドレス」の正体 海外展開で始めてわかった着物の価値
――「MANAKA」の商品には職人さんの力が大きく関わっていますよね。
山中:私の役割は「MANAKA」のコンセプトとデザインイメージを考えること。それから完成した商品を世に送り出すことです。制作工程においては、ファッション、革製品、下駄、手ぬぐいなど、それぞれ の商品を一緒にカタチにしてくださる職人、デザイナーのみなさまの存在がとても大きいです。
手ぬぐいは、創業140余年の東京日本橋の老舗、戸田屋商店さんで染め上げています。色合いの美しさ、風合いのよさは、伝統工芸に指定された「注染(ちゅうせん)」という染色方法で、熟練の職人達による手染めだからこそ実現できています。人肌に直接触れる生地は、吸水性抜群の上質地を使用しています。切りっぱなしの端処理は、速乾性のための昔からの知恵です。1枚の手ぬぐいに、沢山の工程を経た熟練の職人の技が詰まっています。
また下駄は、昭和12年創業、静岡市の株式会社水鳥工業さんで制作しています。職人が一点一点手彫りで彫った木地は、足裏に心地よくフィットします。靴と同じように左右の足型に合わせ、足の甲をつつみ込むように鼻緒を挿げることで、一日中履いても疲れない下駄になっています。一度「MANAKA」の下駄を履いていただくと、きっとそのフィット感に驚かれると思います。
ゴールはビジネスとして昇華させること
――山中さんは「MANAKA」を今後、どんな風に育てていきたいですか?
山中:「MANAKA」が目指しているのは、衣食住のすべての分野で伝統技術と現代の融合を表現することです。ファッションだけでなく、生活の分野でも日本の伝統技術と融合した商品開発を増やすことで、伝統技術に触れ、使う機会を拡げていきたいです。また、日本のすばらしい伝統技術を後世に残すためには、その技術を知っていただくだけではなく、商品が売れ続けなくてはいけません。「MANAKA」として、売れるものをデザインできなければ意味がないのです。ビジネスとして成功させなくては、伝統技術を残せないですから。
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