“打倒アマゾン”--国内ネット通販王者・楽天が繰り出す迎撃策《アマゾンの正体》

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書籍の品ぞろえについても新刊本に関しては遜色がない。楽天ブックスの在庫は、埼玉県三芳町にある日販のウェブブックセンターで集中的に管理していることもあり、アマゾンで在庫切れの本であっても楽天ブックスではすぐに買える場合が多い。「おかげで現在はコンスタントに対前年同月比で5割以上の勢いで成長を続けている。7月はメディア製品全体で6割成長。書籍だけをとっても6割成長を達成した」(執行役員・パッケージメディア事業長の豊田裕之氏)。

販売量が伸びることにより、仕入れ条件が改善するなどの好循環も始まっているという。「送料無料の勢いを生かして、アマゾンにはあって楽天にはないものを愚直に実現していきたい」(豊田氏)。 

今、最も力を入れているのがいっそうの品ぞろえ強化だという。テレビなどで紹介されて注文が急に跳ねたときにも品切れを起こさないよう、出版社とのコミュニケーション強化を進めている。また、DVDではメーカーとタイアップして特典映像を付けるなど、楽天限定品をラインナップ。価格以外の付加価値を模索している。

しかし、アマゾンにあって楽天にないものは、まだある。一つは「当日配送サービス」だ。アマゾンの「お急ぎ便」は、朝に頼めばその日のうちに配送される。これにより、対象地域である関東圏において、アマゾンは圧倒的な強みを持っている。「当日配送サービスは絶対に必要。早い段階での実施に向けて準備中だ」(豊田氏)。

もう一つが「中古本」だ。アマゾンではマーケットプレイスで第三者が販売している中古本も横断的に検索できるため、絶版本や在庫切れ本を入手しやすい。今でも、楽天市場で検索すれば楽天ブックスの新刊本と楽天市場のショップの中古本が両方表示されるが、点数が多くない。中古本の拡充は必須だ。

「アマゾンを抜けないのはなぜなんだ、と三木谷社長に言われ続けている。遠くない将来、書籍の販売でもトップになるのが目標だ」(豊田氏)。楽天ブックスははたして、アマゾンの顧客を引き剥がすことができるか。戦いは今、佳境である。

(週刊東洋経済)

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