“アマゾン品質”の秘密に迫る、日本人も虜にするカイゼン経営《アマゾンの正体》

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アマゾンユーザーが上陸前から19・3万人

大きなカベをぶち破った要因としては(1)システム不具合が多発した競合他社と比べ検索画面、注文画面が圧倒的にスムーズに動いた、(2)国内3位の取次である大阪屋と組んで当初より売れ筋からロングテールに至る膨大なラインナップを販売できた、(3)日本通運と組み年中無休の物流体制を築いた、などが挙げられる。

が、最も重要なポイントは、(4)すでに強力なアマゾンファンがいた、だ。米アマゾンのサイトで洋書などを購入しようと日本からクレジットカード番号を登録している利用者は上陸時点で19万3000人おり、年間3400万ドルの売り上げがあった。当時の顧客は大学関係、外資系企業に勤務するMBAホルダーなど、オピニオンリーダー的な存在の人々。使われていた理由は「洋書が丸善で買うより安い」に尽きる。当時の洋書は1ドル=360円で計算しているかのような法外な値付けが当たり前だったが、アマゾンであればドルで買える。スピード配送を指定すると、注文の2日後には米国の倉庫から届く、という離れ業も実現していた。

日本市場の特性に合わせ、携帯電話への対応を01年に始めるなど、市場特性に応じた対応も素早かった。「モバイルサービスは米国で始めたが、普及したのは日本が最初だ」(米アマゾン・ワイヤレスプロダクト&サービス・ディレクターのサム・ホール氏)。大量購入者に対する配送無料ポリシーも02年第1四半期には日本へ移植。米国のサイトとまったく同じような購入体験を実現した。

日本的なカイゼン文化も、日本の消費者にフィットした。市川フルフィルメントセンターの廊下には「KAIZEN」の標語が張られ、カイゼン提案件数ランキング、実施件数ランキングなどが、顔写真とともに掲載されている。

カイゼンの例。「ユーザーから『配送用の段ボール箱でかぶり物を作ったところ髪の毛にボンドが付いてしまった』という声があった。頭にかぶることを想定していなかったが、確かにベタつくのですぐにボンドをベタつかないものに替えた」(瀧井聡・アマゾンジャパン・ロジスティックス社長)。小さな本を1冊買っただけでも段ボール箱で送られてくるのはムダではないか、の声が寄せられていることに対しては「小型サイズを作って現在、実験中だ」。

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