阿部寛も「覚悟」した過酷すぎる映画の真実

監督が壮絶な「エヴェレスト」撮影を語る

――俳優さんが倒れるという事態も。

それは言ってはいけないタブーでした(笑)。でも岡田くんは「もし僕が潰れたらどうなるですかね?」という質問を1回だけプロデューサーにしたことがあるらしいです。そしたら「主役は潰れないです!」と。それは何のリアリティーもない答えだったんだけど(笑)。それくらい何があってもおかしくないという状況がありましたね。

「頑張らないでください」が合い言葉

俳優陣にも覚悟を決めて入ってもらった (c)2016「エヴェレスト 神々の山嶺」製作委員会

――山岳チームはどのようにかかわっていたのでしょうか。

山に登るうえで、ここから先は危ないから先に行くなとか、ここで撮影するよと言ったら、その時に山屋さんがカラビナいう安全具を利用して、間違いなく安全な環境を作るわけですね。だからどんなに崖っぷちであってもそれは信用します。それができたら山の中だろうがどこだろうが、怖くなくなってしまうんですね。ただし、撮影を終えて降りる時は怖いですね。素に戻ってしまうんでしょうね。

――それは当然俳優さんも。

同じです。岡田くんにしても、阿部さんにしても、覚悟を決めて入っていただいているので、「上に登った時は構わないでください」と言われました。だから必然的に、僕らも山岳チームの方々にあまり助けてみたいなことを言ったらダメだなと思いました。

――山岳部の人が語る、登山に向いている人の条件として「負けず嫌い」「向上心がある」「自分をみつめる1人の時間が嫌いじゃない」ということがあったそうですが。岡田さん、阿部さんのキャスティングはピッタリだったと言っていたそうですが。

ただし山屋さんからは「頑張らないでください」と言われたんです。頑張ると死んじゃいますから。無理すると必ずやられます。通常の映画撮影は本当に走れ、走れですけども、今回は非常にスローペース。ネパールの言葉に「ビスタリ」という言葉があったんですが、これはゆっくりという意味なんですよ。だからいつも撮影現場はビスタリ、ビスタリでした。

次ページ平山監督の映画人生
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナ後を生き抜く
  • インフレが日本を救う
  • コロナショック、企業の針路
  • スージー鈴木の「月間エンタメ大賞」
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
文具業界を揺るがす動乱<br>「コクヨvs.プラス」の全真相

昨年末のぺんてる株をめぐる文具2強によるプロキシーファイト(委任状争奪戦)。両社のバトルには、8月に設立したプラスの卸子会社が2年前の計画で一度頓挫していたことにも伏線が。縮小する文具業界再編をめぐる壮絶な主導権争いに迫ります。