エリクソンに44歳CEOが誕生、世界最大の通信機器メーカーの“総合力”に迫る

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合弁の携帯事業が足かせ 日本で存在感は高まるか

こうした中、現在、業績面で足かせとなっているのがソニー・エリクソンで展開している携帯電話端末事業だ。エリクソンの09年6月中間期売上高が10%増と堅調だったのに対し、営業利益が半減したのは、ソニー・エリクソンなどの合弁会社が大きくマイナスに寄与したため。ソニー・エリクソンはリストラ費用もかさみ大赤字を計上している。17日、エリクソン出身の新社長が就任することが明らかになったが、どう乗り越えるかが課題だ。

携帯電話の苦戦はあるものの、「エリクソンは事業の取捨選択をきちんとしてきた」と、ある日本の通信キャリア幹部は評価する。昔はエリクソンも携帯を作っていたが、ソニーという相手を選んで合弁化、半導体部門も大手のSTマイクロエレクトロニクスと合弁を設立した。一方で、技術の補完や新規のマルチメディア事業育成のための買収にも積極的に取り組んでいる。

08年の売り上げ上位はインド、中国、米国。アフリカなど社会インフラ未整備地域には、太陽光発電などを利用した基地局を提案するなど、エリアの実情に沿った製品・サービスを総合的に提供している。 

 08年の日本の売り上げは全体の3%程度だが、「通信技術の先進国として重要視している」(ヴェストベリ次期CEO)と言う。現在、ソフトバンクとイー・モバイルのネットワークの主要ベンダーの1社として選定されているほか、NTTドコモのLTE(10年からサービスを開始する次世代通信網)基地局開発プロジェクトのベンダーの1社にも選定されている。8月13日、イー・アクセスがスウェーデン輸出信用保証委員会の保証から資金を調達し、エリクソンの通信設備購入に充当するとの発表があった。こうしたスウェーデン政府の有形無形の支援もまた、世界におけるエリクソンの事業展開を下支えしている。

費用対効果の点から、日本の通信キャリアも世界標準の通信技術を採用し、価格競争力のある海外企業を選択する事例が増えている。エリクソンにとっても追い風には違いない。本国以外での海外経験も豊富なニューリーダーの腕が試される。

高橋 志津子 東洋経済 記者

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たかはし しづこ / Shizuko Takahashi

上智大学法学部国際関係法学科卒。東洋経済新報社に入社後は、会社四季報、週刊東洋経済、ムック、東洋経済オンラインなどさまざまな媒体で編集・執筆を手掛ける

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