トラブル急増の「追い出し屋」問題、規制論議が始まるも見えない着地点

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 昨年からの景気悪化で家賃を支払えなくなる借り主が増え、最近ではトラブルも急増している。家賃保証会社が無断で鍵交換をしたり、家財処分をするなどのケースが続出。同業界には監督官庁がなく、直接規制する法律もないことから、一部業者は「追い出し屋」として社会問題化している。

国民生活センターに寄せられた相談件数も、08年度は428件と前年度比で倍以上に。弁護士や司法書士が2月に結成した「全国追い出し屋対策会議」によると、相談者は30代が中心で、無職、派遣、アルバイトなど収入が不安定な人が多いという。

「貯金口座にあるだけ、コンビニで下ろして持ってこい」。6月、家賃を滞納した男性(30)は、追い出し屋にすごまれ、残金4万円すべてを差し出した。男性はIT機器の営業サポートの正社員だったが、過労で倒れパワハラを受け、退職に追い込まれた。家賃支払日に雇用保険の受給が間に合わず、結局、退職後4回ほど「督促手数料」を要求された。

また、仕事が入らず無給状態が続く元派遣社員の男性(30)は、鍵交換の被害に遭う寸前だった。「長期の仕事から家に戻ると男性2人がドアノブをいじっていた。一日帰宅が遅れていたら締め出されていた」。

都内国立大学の男子学生(25)は、アルバイト代と奨学金で家賃を賄っていたが、一時支払いが滞り、突如ドアに施錠具が取り付けられた。後日、荷物も撤去され、「カーテンすら残っておらず、コートにくるまって朝を迎えた」と言う。

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