自民と公明、参院選候補を巡る「軋轢」の真相 公明党が選挙区で次々に独自候補を擁立
2014年衆院選の比例区での得票数で見ると、兵庫県内では自民党70万2468票、民主党30万1285票、維新の党は53万8260票、公明党32万265票、共産党は26万848票となっている。公明党は選挙区で独自候補を擁立していた時に獲得していた票数は、43万3236票(1992年)、45万2874票(1989年)、48万5588票(1986年)、45万6233票(1983年)、39万4128票(1980年)、43万2809票(1977年)、44万920票(1974年)、30万594票(1971年)なので、候補を擁立する限り40万票以上は獲得できるだろう。
その一方で、民主党と維新の党の合流により民主党票に加わると見込まれる旧みんなの党の得票数を見ると、ブームだった2010年の参院選で41万4910票、分裂前の2013年の参院選では17万4132票となっている。これらから予想すれば、民主党の水岡俊一氏も、40万以上の票を獲得することは不可能ではない。3議席目を巡る熾烈な争いが予測される。
激しい埼玉選挙区での闘い
だが、もっとも激しい闘いを繰り広げているのは、埼玉選挙区かもしれない。公明党は2007年の参院選で、現職の高野博師氏が落選してしまう。ちなみにこの時、愛知選挙区の山本保氏も落選し、公明党にとって非常に厳しい選挙となった。
よって2010年の参院選では埼玉選挙区の議席を死守すべく、西田実仁氏が自民党に推薦願いを出したものの、埼玉県連の強い反対にあっている。2013年の参院選で初出馬の矢倉克夫氏には「特例」として自民党から推薦が出たが、この時も党内ではひと波乱あった。自民党から出馬した古川俊治氏が記者会見で、「自民党の支持者に『公明党に投票してほしい』と言うのはバカげた話」「創価学会は嫌いだ」とまくしたてた上、公明党に対して「人の党の票を分けて下さいと言う前に、無党派層に訴えかけろよと言いたい」と挑発したのである。
また2014年の衆院選の比例票を見ると、埼玉県では自民党が93万7281票、民主党が53万5010票、維新の党が42万2737票、日本共産党が40万583票獲得しており、大激戦区になることが予想される。公明党としてはなんとしても、票の上積みを狙いたいが、そのためには選挙での票のバーターができる自民党に頼らざるをえないのである。
そもそも自民党本部が公明党が独自候補を擁立した5選挙区での推薦に早々と積極的な姿勢を示したのは、残りの選挙区で公明党の協力を得たいからだけではない。すでにその目は次の衆院選を睨んでいる。1999年10月5日に連立を組んで以来、下野した2010年の参院選も選挙協力を行ってきた。もはや自民党は公明党の票なくしてその議席数を維持できないのである。
一方で公明党も、小選挙区で自民党に協力することは、そのまま比例区での票を上積みすることを意味する。また東京12区など公明党が現職を占める小選挙区についても、自民党との協力なくして維持することは不可能だ。
谷垣幹事長は3月1日の記者会見で、「少し時間がかかるかもしれないが、今努力中だ」と述べた。井上義久公明党幹事長は3月13日の自民党党大会までに推薦を決めるように求めている。
同床異夢の自民党と公明党。決して穏やかではないその眠りは深くそして長い。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら