共和党でトランプ氏まだ圧倒的優位ではない

序盤戦終え、米大統領選の今後を占う

トランプ候補の奇抜な発言も巧みなマスコミ・コントロールを狙ったものであるが、冷静に聞いてみると、一般の有権者にはアピールするものがある。

たとえばメキシコとの間に壁を作るという政策も、同候補は「私が問題としているのは不法移民である。私はメキシコ人が好きだし、尊敬している。わが社でも何千ものメキシコ系アメリカ人を雇用している」と続ける。トランプ候補の支持層である高卒ブルーカラーは不法移民と労働市場で直接競合しあう。それだけにトランプ候補の主張は胸に響くことになる。中国や日本に対する批判も、「失われた雇用を取り戻そう」という主張の裏返しの表現でもある。他の共和党候補者の中から、そうした有権者にアピールするメッセージは聞こえてこない。

民主党では、サンダース氏の「革命(revolution)」に対してクリントン候補は「進化(evolution)」で答えている。クリントン候補はオバマ政権の政治を継続することを訴えている。同候補の主張は現状容認から始まっており、トランプ候補に対しても、「壁を作るのではなく、壁を低くしよう」と反論する。だが、現実のブルーカラーの雇用状況を前にすれば、その訴求力は強いとはいえない。民主党の最大の支持団体であるAFL・CIO(米労働総同盟産業別会議)がクリントン候補の支持を保留したのも、そうした背景があるからだ。

国民は既成秩序の抜本的な改革を求めているのである。トランプ氏とサンダース氏はともに単なる泡沫候補以上のメッセージを発し、激しい言葉を使って有権者の気持ちを盛り上げることに成功しているのである。

民主党はサンダース氏指名の可能性低い

では、最後には誰が勝つのか。

民主党から言えば、サンダース氏が大統領候補の指名を獲得するのは難しいだろう。富裕層との関係や金銭問題でクリントン候補に不満を抱く民主党左派や若者層を動員することに成功したが、スーパー代議員が大挙してサンダース候補支持に鞍替えする事態でも起きない限り、7月にフィラデルフィアで開催される党大会で過半数の代議員の支持を得て大統領候補に指名される可能性はまずないだろう。ただ、サンダース氏は資金が潤沢なので、途中で撤退することなく7月の党大会での決選投票まで持ち込む意向である。だが、最終的に大統領候補に指名される可能性は低いだろう。

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