共和党でトランプ氏まだ圧倒的優位ではない 序盤戦終え、米大統領選の今後を占う

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昨年の6月にトランプ氏が立候補宣言をしたとき、アメリカのメディアの多くは、同氏を泡沫候補扱いしていた。だが、序盤戦の健闘を見て、「トランプ氏が大統領候補に指名される可能性は否定できない」という論調に変わってきた。何がトランプ・ブームを支えているのだろうか。

サンダース氏も同様であった。「民主的社会主義者」を主張する同氏は、アメリカ政治の異端であった。アメリカ人は「社会主義」という言葉を毛嫌いする。しかし、今回の選挙では逆に若者層を中心に支持を拡大している。両候補の勢いはいつまで続くのであろうか。

トランプ氏とサンダース氏の人気の背景

筆者も含めて多くの専門家は、“トランプ・ブーム”は一時的現象で終わると考えていた。だが、思った以上に同氏の人気は根強く、現在では大統領候補指名の最右翼と目されるようになっている。

アメリカ国民の間にはワシントンの政治への強い不信、あるいは反エスタブリッシュメント感情がある。過去の大統領選挙ではワシントンの政治に染まらない“アウトサイダー”がワシントンの政治改革を訴えることで大統領に選ばれてきた。

ジョージア州知事だったカーター大統領、カリフォルニア州知事だったレーガン大統領、アーカンソー州知事だったクリントン大統領、テキサス州知事だったブッシュ大統領、イリノイ州議会議員を経て連邦上院議員就任2年目に選挙に立候補したオバマ大統領と、いずれもワシントンの政界のアウトサイダーであった。

今回、アウトサイダーとして登場しているのは、トランプ氏とサンダース氏である。両候補とも既成勢力を批判することで支持を獲得している。両候補とも明確なメッセージを有権者に向かって発している。トランプ氏は「アメリカを再び偉大な国家にしよう」と呼びかけ、サンダース氏は「既得権を打ち破る革命を行う」と訴えている。他の候補者から明確な変革のメッセージが聞こえてこないのとは対照的である。

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