共和党でトランプ氏まだ圧倒的優位ではない 序盤戦終え、米大統領選の今後を占う

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もう一人の対立候補者であるルビオ氏は党エスタブリッシュメントの支持を得ているが、伸び悩んでいる。現時点での獲得代議員数は116名である。同候補の地盤はフロリダ州で、同州の予備選挙は3月15日に実施される。同州に割り当てられている代議員数は99名であり、ここで圧勝すればトランプ候補との差を縮めることは可能である。

残るケーシック候補は他の3名の候補者に大きく水を開けられている。同氏は共和党内の穏健派の支持を得ているが、知名度も含め有権者に対するアピールが弱い。オハイオ州での勝利を期待しており、もしオハイオ州で敗北すれば選挙から撤退する可能性を示唆している。オハイオ州の共和党の代議員数は66名である。

州別の勝利でいえば、民主党ではクリントン候補が11州、サンダース候補が7州と大きな差はない。他方、共和党ではトランプ候補が11州、クルーズ候補が6州、ルビオ候補1州と、トランプ候補がリードしている。

ケーシック氏が脱落ならルビオ氏有利に

しかし、大統領候補予備選挙と大統領選挙の違いに注目する必要がある。

大統領選挙は「勝者総取り制(winner takes all)」で、州の選挙で1票でも多くとった候補者が州に割り当てられた選挙人をすべて獲得することになる。したがって、どれだけの州で勝利するかが問題になる。

これに対して予備選挙では、民主党は全選挙区で案分制を採用している。その結果、獲得代議員数に大きな差が付かない。共和党では州がそれぞれ独自の制度を採用している。たとえばサウス・カロライナ州は総取り制度を採用しており、代議員の数は50名である。同州で勝利したのはトランプ候補であり、50名の代議員を獲得し、同候補の総獲得代議員数の約14%を占めている。同州で案分制度が採用されていれば、同候補の獲得代議員数は25名以上減っているだろう。他の多くの州は案分制か、総取り制と案分制を組み合わせた制度を採用している。したがって、共和党も獲得代議員の数に大きな差が付かない。

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