改正薬事法による量販店、コンビニの参入は限定的--宇野正晃・コスモス薬品社長

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 6月に改正薬事法が施行された。

医師の処方箋を必要としないで購入できる一般医薬品(OTC薬品)が副作用のリスクの高さに応じて、1類、2類、3類に分類され、1類は薬剤師のみの販売に規制が強化、文書による説明も義務づけられた。ただ、2類、3類に関しては新たに創設された登録販売者という資格者が販売できるようになった。

1類に分類された薬品はOTC薬品の約5%程度といわれ、大部分のOTC薬品を登録販売者が販売できるようになった。薬剤師に比べて人件費負担が格段に低い登録販売者が、OTC薬品のほとんどを販売できるようになったことから「量販店、コンビニがOTC薬品薬品の販売を強化する」という報道が多くされている。

だが、九州、中四国でドラッグストアを展開するコスモス薬品の宇野正晃社長は、こうした予想を一刀両断に否定する。宇野社長はOTC薬品の市場規模が小さいことをまず指摘する。宇野社長は「OTC薬品の年間の市場規模は約8000億円と推定されるが、処方箋医薬品はその10倍はある」と語る。

さらに、「医薬品の粗利益率は30%から40%あるので量販店、コンビニにとってその高さが魅力的に見えるかもしれないが、商品回転率が他の商品に比べて極端に低いし、販売量も小さい。小売業の利益は交叉比率(粗利益率×商品回転率)によって決まるので、人件費などのコストがドラッグストア業界より高い量販店にとって、儲かる商品になるとは思えない」と指摘する。

その例証として、イオンなど大手量販店がOTC薬品に注力しているが、利益を上げている、という話が業界に聞こえてこないことを挙げる。また、コスモス薬品の地元である九州では、「コンビニが新たにOTC薬品を扱ったという具体例を知らない」とも語る。

「量販店は自分でOTC薬品を販売しないで、薬局、ドラグストアチェーンにスペースを貸してテナント料を稼ぐほうが、利口ではないか」と量販店が進む道を示唆する。

(内田 通夫=東洋経済オンライン)

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