ダイヤ改正で「中央線快速」の本数が減るワケ 多摩地域は実は人口減で地盤沈下している!?

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中央本線の特急「あずさ」は通勤客にも利用されている(写真:HAYABUSA/PIXTA)

だが、中央線の本数削減は、多摩地域の存在感低下を感じさせる話ではある。

多摩地域は、決して存在感の低い地域だったわけではない。武蔵野市や小金井市、国立市などの住民の多くは都心部に通勤しており、これらの地域はベッドタウンとして発展してきた。

だが、昨年3月のダイヤ改正でも青梅線、五日市線では昼間の運転本数削減が行われた。東京都内であっても、都心から離れたエリアは少子高齢化や人口減少の影響が出始めていることの表れだ。

多摩地域の存在感が下がっているのではないかと思わせることは、ほかにもあった。今年初めから、多摩地域では『日本経済新聞』の最終版が配られなくなり、最終版のひとつ前の版が宅配されるようになった。多摩地域への宅配は最終版でなくてもいいと判断したからには、多摩地域の存在感が薄まっていると判断したととられてもやむをえない。

中央線の優位性高めるグリーン車

JR東日本は、2020年度に中央線にグリーン車を導入することを発表している。現在、中央線快速電車に使用されているE233系電車に2両のグリーン車を連結する予定だ。そのため、多くの駅でホームなどの改良工事が行われる。

現在、中央線では全席指定の「中央ライナー」「青梅ライナー」が運行されている。また、「あずさ」「かいじ」といった中央本線の特急は、定期券と自由席特急券を組み合わせての短距離の利用も可能で、新宿から立川・八王子までは510円となっている。新宿駅や立川駅、八王子駅では、ホーム上に自由席特急券の券売機もある。着席可能なこれらの列車は、通勤利用者に人気が高い。

大学も多く、大卒者も多い多摩地域は、比較的知的な階層が暮らしている地域であることは間違いない。今後、生産年齢人口の減少が進む中、こういった人々の流出を防ぐ、あるいは住む場所として中央線沿線を選んでもらうためには、着席通勤が可能で、列車の中での余裕ある知的生産が可能なグリーン車の連結は重要といえる。

近年、JR東日本は首都圏でも郊外の区間を中心に減便を行い、一方で利用者の増えている路線や時間帯に運転本数を増やすなど「選択と集中」を行う傾向が明確になっている。本数を減らす一方、グリーン車の導入など何らかの形で中央線の優位性を生み出そうとしているJR東日本。これらの施策によって、中央線、そして多摩地区の存在感を今後も維持し続けられるだろうか。

小林 拓矢 フリーライター

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こばやし たくや / Takuya Kobayashi

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学卒。在学時は鉄道研究会に在籍。鉄道・時事その他について執筆。著書は『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。また ニッポン鉄道旅行研究会『週末鉄道旅行』(宝島社新書)に執筆参加。

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