再就職支援に7000億円投入でも現場体制が未整備、しょせんは“見せガネ”か
3年で100万人の就職支援目指すが…
今年度の当初予算で見込んでいた職業訓練対象者数は3年で65万人。が、この新基金の設置により35万人分を追加。3年で100万人の職業訓練を行うことになった。07年度に行った公共職業訓練の実績は15万人だったため、年間ベースではおよそ2倍への規模拡張だ。厚生労働省、雇用・能力開発機構では、民間教育機関への委託を増やすことで対応していく計画だ。
想定されているのは製造業をリストラされた派遣社員や請負労働者。つまり、雇用保険の受給対象ではない失業者だ。基金により上乗せされた35万人のうち半数ほどには、ワープロソフトなどパソコンの操作方法を教え、再就職先の幅を広げる。残る半分は、介護、農業など人手不足の業界で働くために必要な技能を教えることで、就職を支援していくという。さらに3年間で30万人を想定し、訓練期間中の生活保障を充実させる(下表の1の【2】を参照)。
雇う側に対する支援も強化する。中小企業がスキルのない労働者を実習しながら雇う場合には、当該企業に対して1人当たり月10万円を最大6カ月間補助する。その後、正社員として雇い入れた場合には、定着状況を見て1人当たり100万円の助成金を出す仕組みも整えた。従来は1人当たり月4万円で“お試し期間”3カ月だったのと比べれば大幅な拡充といえるだろう。さらに、下表の3のように、長期失業者に対しカウンセリングを施し、職場見学などの機会を設けて就業を促す。