急行と各停で「マンション価格」はこうも違う 首都圏の人気5路線で徹底比較してみた

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もっとも、「供給物件の立地条件や魅力的な商業施設の有無などにより相場も変動するため、一概に『急行停車駅のほうが駅力が高い』とはいい切れない面もある」と、杉原氏は指摘する。

さて、3つ目のポイントである「駅近」にも注目しておきたい。駅から近い物件ほど人気が高いことはよく知られている。一般的には「徒歩10分圏内の物件の人気が高い」といわれているが、実際はどうか。

人気の分岐点は「徒歩8分」

トータルブレインは毎年、駅距離別の売れ行き調査を行っている。2015年のデータを分析した結果、「徒歩8分を超えると、人気がガクンと落ちた」(杉原氏)という。最近のマンション購入者は「徒歩10分でも遠い」と感じる人が多いようだ。

2014年と2015年を比較すると、この傾向がさらに際立つ。徒歩8分圏内の物件の人気がさらに上昇する一方、徒歩9分以遠の物件の苦戦がより鮮明になったという。

とりわけ厳しいのが、徒歩13分以上かかる物件だ。「徒歩13分以上はデベロッパーに駅遠立地の認識があるので価格競争力を持たせているが、それでも駅距離のマイナスがカバーできていない」(杉原氏)。つまり、多少割高であっても駅近物件を選ぶということだ。

こうした傾向の背景として、杉原氏は「住宅購入の決定権が男性から女性に変わってきた」と指摘する。

共働きの世帯が増えてきたことで、マンション購入の際の住宅ローンの組み方として、男性と女性のペアローンでの購入が増えつつあるという。このため、ユーザーの資金力が上昇すると同時に、マンション購入に対する女性の発言力も高まっている。

その結果、「働く女性が帰宅後に家事や子育てをするということを考えると、マンションの立地は少しでも駅に近いほうがいい。小家族であるため面積は多少妥協しても、立地の利便性は譲れない」(杉原氏)という事態になっているわけだ。

今後、共稼ぎ比率の上昇とともにマンション購入に対する女性の発言力が増していくとすれば、1月24日付記事「若い女性が住む『都内の人気駅』ランキング」に登場する駅の人気が高まっていく可能性もある。駅力・駅近といった利便性・快適性は、今後ますます重視されていきそうだ。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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