私のサービス論 「JALがサービス改善のために、取り組んでいること」
サービスがサービス産業の専売特許であったのははるか昔の話。今やサービスは、あらゆる産業にとって最優先課題になっている。日本の名だたる企業のトップたちは、「サービス」をどう定義し、具体的にどのようなサービスを実践しているのか?各社のトップに聞いた。
(『週刊東洋経済8月11日・18日合併号の特別版』)
Q.御社にとって、「サービス」とは何ですか?
「安全運航の堅持」を大前提にした上で、定時性を確保し、お客さまのご要望を正確に把握し、お客さまの視点に立ったサービスと快適性を追求することです。
Q.御社のサービスの具体例を教えてください。
2006年度には定時出発率(遅延15分以内)国際線87.1%、国内線93.1%を達成しました。また、さらなる定時制の向上を目指し社内目標を別途設定しています。
他のサービスとしては、(1)国内線Fクラス、国際線プレミアムエコノミーサービスの導入や国際線長距離ビジネスクラスの新たな機内サービスの導入、(2)成田空港第2ターミナルラウンジの拡大リニューアル、(3)oneworld加盟によるお客さま利便性の向上、(4)ICカードによるチェックイン手続きなどの簡略化によるお客さまの待ち時間の短縮、などを実践しています。
Q.サービスを定着・向上させるために、どのような取り組みを行っていますか?
定時性の確保のために、ダイヤ・機材繰りの構造的改善に加え、各セクション・各地担当者の現場に根ざした取組みにより、客体に応じた最適な機材投入や運航スケジュールを工夫しています。(飛行前点検など整備時間も充分に考慮しています。)
他の取り組みとしては、以下のようなものがあります。
・「value score」というお客さまの評価をポイント化し、各施策の導入効果や今後の実施優先順位をつけていく。
・お客さまのご意見・ご要望を取り入れた商品開発提案は、現場若手リーダー社員を中心とし組織横断的に実施する。
・外部専門機関を活用して原因の徹底究明を行い、モデル化し、各関連セクション・現場等への浸透を図る。
・『トヨタ方式』と『J-CORE』という手法を導入し、更なる業務改善を実施。(J-COREは、統計学的手法により点数化するもの。教育受講後、職場で実践し、改善結果を社内表彰しています。)
・お客さまから高い評価をいただいたサービスやそれに繋がるチームワークなどを各支店や各本部で表彰。その中から年1回JALグループにて『DREAM SKYWARD賞』として全社的に表彰し、社内報やイントラネットに掲載しています。
・調査会社に選好性調査を実施依頼し、重点施策等の各種サービスに活かす。
・『ご意見ダイアル』やメール等にて、直接お客さまの声をいただいています。(06年度 約3万2千件)これらに対して迅速に対応すると共に、毎月実施する『CS強化推進会議』で役員報告と方向性の確認・修正をしています。
西松 遙(にしまつ・はるか)
1948年、静岡県出身。72年、東京大学経済学部を修了、同年に日本航空に入社。87年フランクフルト支店フランクフルト営業所総務セクションマネジャー、91年に資金調達グループ課長、99年資金部長。2004年日本航空執行役員、05年日本航空取締役、06年6月に社長に就任。
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