2月15日につけた「日経平均1000円高」の意味 余剰運用資金が探し始める個別株の特徴は

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週末には上海でG20財務相・中央銀行総裁会議(26日-27日)が開催されます。このイベントを前にドル円相場は1ドル113円を中心に方向感の定まらない展開が予想されますが、NY原油先物が1月29日に付けた終値ベースの戻り高値33.74ドルを上回れば底打ちムードが広がり、同じくあと少しの上昇で底入れが確認できる米国のダウ平均には援軍となるでしょう。

需給動向では、海外投資家の動きが重要なポイントです。海外投資家は今年に入ってから2月第2週までに日本株を現物・先物合算で2兆4300億円程度売り越しました。ただ、2月第1週以降は現物を売りながら先物は買い越しに転じており、15日の1000円高は日経平均の1万5000円割れによるアク抜けで、買い戻し姿勢を強めた公算が大きい。春節でアジア市場が休場の中、2月第2週は市場が動いている日本の現物株に売りを浴びせた可能性も高く、だとすれば売り過ぎた分の買い戻しが短期的には期待できるかもしれません。

価格帯別累積売買代金からみた上値抵抗

株式市場の売買高分析の手法に、価格帯別累積売買代金というのがあります。売買代金が多い価格帯は将来の上値の抵抗になりやすく、逆に極端に少ない価格帯は真空地帯といわれます。そこで、日経平均を500円ごとに区切って、12月1日の戻り高値以降の東証一部の売買代金を累積したものをみると、1万7000円~1万7500円が相対的に極端に多く、1万8500円から再び多くなります。株価も昨年9月に1万7000円付近の安値をつけているため、1万7000円からの戻り売りをこなした上で、1万7500円以上に抜け出せだすことができれば、次に価格帯別累積売買代金が多くなる1万8000円台後半までは比較的上値が軽くなると読み取ることができそうです。

日銀による「マイナス金利」導入によって、銀行の預金金利が引き下げられています。MMFなども運用難から資金を投資家に返還する動きが出ています。国債利回りの急低下で金融機関などはますます運用難に陥る可能性が高い。地方銀行の再編だって、あとになってみれば、「マイナス金利」導入が大きなきっかけになった、といえるときがくるかもしれません。そんな状況下、中長期的には銀行のリスク資産に対する考え方に変化が生じる可能性が高いとみています。

リスク資産では、J-REIT(不動産投資信託)に加え、一部ではETF(上場投資信託)を購入する動きも出始めています。持ち合い株式放出後の運用先と併せ、リスク資産の運用範囲を現物株に広げる動きが出てきてもおかしくありません。相場全体は2017年の後半ぐらいまでは大きな方向感が出づらくなった可能性が高く、そういった余剰運用資金は高配当利回り株、低PBR(株価純資産倍率)株、高ROE(自己資本利益率)株、ガバナンス意識の強い企業の株式を個別に探し始めるのではないでしょうか。

東野 幸利 国際テクニカルアナリスト

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ひがしの ゆきとし / Yukitoshi Higashino

DZHフィナンシャルリサーチ 日本株情報部長。証券会社情報部、大手信託銀行トレーダー、大手銀行などの勤務を経て2006年に入社。マーケット分析やデリバティブ市場のコンテンツを担当。IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、国際テクニカルアナリスト連盟(IFTA)教育委員、日本テクニカルアナリスト協会理事なども務める。
 

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