B-CAS存続の行方、地デジ視聴独占に強まる批判

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取引先は株主企業 社員17名も転籍者

B-CAS社はNHKと民放キー局傘下のBS事業会社、東芝、パナソニック、日立製作所の電機メーカー3社などが共同出資し、2000年に設立された。社員17人はほぼすべて株主会社からの転籍者。09年3月期の売上高は98億円で、約8割が放送事業者が支払うB-CAS方式の利用料、残る約2割がテレビ・チューナーメーカーからのカード支給手数料だ。一方、支出面ではカード調達費用が8割弱を占めており、大手印刷会社など複数のカードメーカーへの支払いに充てられているとみられる(下図参照)。

カード発行枚数は一貫して増え続け、09年3月期末の累積発行数は6291万枚。政府では地デジ完全移行時にデジタル受信機器1億台の普及という目標を定めており、1機器にカード1枚が割り当てられると考えれば、期間限定でも確実に伸びる成長市場だ。

しかし現在までB-CAS社以外の参入企業は皆無。この状況についてB-CAS社は、新規参入は技術的には可能としたうえで「最大の取引先である放送事業者が新規参入を求めるか疑問。放送側にとって当社は著作権管理にかかわるコストセンターで、毎期利用料の低減を求める対象。参入のうまみはないだろう」(広報担当者)と答える。

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