それにしても新規開業で北海道全体の鉄道路線図に新たな線が引かれるのはいつ以来だろうか。
毛細血管のように張り巡らされていた鉄道路線は1980年代をピークに衰退の一途をたどり、40近くあった路線が現在では14路線まで減少してしまった。
石炭エネルギーの需要減少や交通の主体が自動車に移っていく過程で、ローカル線の多くは廃止されバス路線に転換。その中には100kmを超す長大な路線も含まれており、寂しいことに旅の選択肢はどんどん狭まっていった。
地域の生活の足としての役割を果たすことができなくなったのは止むを得ないことではあるけれど、華やかりし頃の路線図を眺めながら「ああ、この街も行ってみたかったなぁ」とため息をつく。
しかし、ここでふと思った。「行けないことはない」んだ!
今まで経験したショートカット・ルートの中には、鉄道の廃線跡のバス転換路線があった。例えば根室本線・帯広駅から、記念きっぷで有名になった愛国駅・幸福駅などを経て広尾駅で乗り換え、襟裳岬を巡って日高本線・様似駅へバスで抜けることができる。
廃線をショートカットで巡る
バスの車窓に目をやると、線路の痕跡をみとめることができたり、記念の保存車両と出会うこともあったりなかなかに楽しい。ということで、今回は行きあたりばったりにテーマが決まった。題して、「北海道の廃線跡をバス・ショートカットで巡る旅」だ。
(室蘭本線・伊達紋別駅~函館本線・倶知安駅)
●旧・池北線ルート
(根室本線・池田駅~石北本線・北見駅)
●旧・深名線ルート
(函館本線・深川駅~宗谷本線・名寄駅)
●旧・天北線ルート
(宗谷本線・音威子府駅~宗谷本線・稚内駅)
●旧・羽幌線ルート
(宗谷本線・幌延駅~留萌本線・留萌駅)
このどれも、終点で別の駅へとたどり着く「非・盲腸線」。つまり、そのまま鉄道に乗り継げば旅を続けることができるわけだ。
まず函館駅で特急スーパー白鳥から乗り換えた特急スーパー北斗の車内で、昔の路線図を眺めながら途中下車する駅を決めた。室蘭本線・伊達紋別駅。駅前に出てバス停を探すと、頼りない1本の棒を発見。「伊達駅前」と示している。
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