伊達駅前14時35分発の道南バス。1日3本しかないこのルートは1986年11月に廃線となった旧国鉄・胆振線のバス転換路線で、天気のいい日には羊蹄山を仰ぎながら旅することができる風光明媚な路線だ。
途中、元横綱・北の湖親方の地元である壮瞥や、鉄道駅の名残である「蟠渓駅」バス停など車窓にいくつも見どころを見つけながら、ニセコスキー場なども近い函館本線(山線)・倶知安の駅前へ到着。胆振線ありし日の人の流れを想像しつつ、太平洋岸の「海線」から「山線」へのバス・ショートカットを実践することができた。
バス乗り継ぎでつなぐ旧池北線
続いて目指したのは、オホーツク海側の石北本線・北見駅。ここから陸別や足寄を通ってワイン城がそびえ立つ根室本線・池田駅へと結んでいた旧国鉄・池北線ルートを旅してみる。ここは第3セクター化して北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線として存続してきたが、2006年4月に廃止となってしまった路線だ。
この140kmにも及ぶ長大ルートは、北見~陸別を北海道北見バス、陸別~池田(~帯広)を十勝バスの2つを乗り継ぐことによってショートカットできる(2016年2月現在)。
本数は約2時間に1本の間隔で運行しているのでアクセスしやすい。以前は駅だったいくつかの停留所でしばらく停車。運転士さんが「トイレ平気かい?」と声を掛けてくれる。トイレのついていない路線バスは長大路線のため何度かのトイレ休憩を挟んでくれるのだ。
バスの乗り継ぎポイントである旧・陸別駅は「道の駅オーロラタウン93りくべつ」として整備され、鉄道が走っていた頃の資料を見学することができる。いくつかの気動車が綺麗に動態保存されており、雪のない時期は運転体験もできるようだ。標高が高く、気温が低くなることでも有名で、訪れた1月初旬はマイナス13℃を体験することができた。
昭和の時代には北海道の隅々まで張り巡らされていた鉄道路線。廃線となったからといって、それぞれの街には行けなくなってしまったわけではない。バスに転換されたルートをうまく乗り継げば、鉄路の痕跡を辿りながら、息づく街の様子を見て回ることができるのだ。
予想以上に距離が長くなってしまったので「ショートカット」と呼べるかどうか分からなくなってしまったが、ダイヤ乱れもほとんどなく予想外に満足感があった。路線図には乗っていないルートを発見し自分だけの道のりを辿っていく面白さ。ぜひ皆さんにも試してみてもらいたい。ただし、バス代がちょっと財布に痛いのはここだけの話だ。
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