富士通が下方修正、田中改革の行方は? 構造改革は進んでいるのか?
2016年3月期は、構造改革費用300億円を計上することから、営業利益は前期比で286億円減益となる1500億円の期初計画でスタートした。
構造改革費用を期初に織り込んだのは、目先の利益よりも中長期的な成長のための布石である。昨年10月には、パソコンや携帯端末の分社化方針を発表。そして今回、田中社長は「第4四半期に計上予定だったドイツの工場閉鎖など、構造改革費用を前倒しで第3四半期に計上した」と説明し、構造改革を前倒しで進めていることを強調した。
田中社長の目はすでに新年度に向いている。「足元の厳しさが来年度も続くと予想される」(田中社長)。新年度にスタートダッシュを切るために、新役員人事を第3四半期決算と同時という、例年より早いタイミングで発表したのもそのためだ。
相変わらず、中計の達成年度は曖昧なまま
また、4月1日付でデジタルサービス部門を新設。「今後の成長が見込まれるクラウド、ネットワーク、IoT(インターネット・オブ・シングス。モノのインターネット)、セキュリティ、ビッグデータなどをデジタルサービス部門に集約する」とした。同部門は、4000~5000人と大規模な組織にする方針だ。
田中社長は昨年10月の中期経営計画発表時に「ここ1~2年の体制構築が勝負」とし、目標数字を単に追いかけるのではなく、組織の体質をまず充実させることこそが重要との考えを強調した。
このため、極めて異例なことだが、中期計画の達成年度について「自らの任期中には」などと曖昧な表現にとどめ、自らの口で明言したことはない。今期、来期とも厳しい環境が続きそうな富士通だが、その中でどこまで構造改革を推進できるか。田中社長の手綱さばきに注目が集まる。
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