「夜行列車衰退」は欧州でも起こっている! ドイツが廃止を発表、各国で波紋広がる
その最右翼と言われているのが、隣国オーストリア連邦鉄道である。同鉄道は、国内外へ向けて多くの夜行列車を運行しており、サービスにも定評がある。車両に関しては、一部に1970年代の古い車両が残っているが、新型寝台車20両をメーカーへ発注しており、2017年頃より順次置き換えていく予定だ。
また簡易寝台車クシェット(4~6人用の共同部屋)に関しても、ベッドごとにパーテーションを設けるなど、よりプライベートを重視した新しいデザインを検討中で、鉄道ならではのサービスを模索している。
そのオーストリア連邦鉄道は現在、ドイツ方面への列車として、ドルトムント行きとハンブルク行きを運行しているが、今後はシティナイトラインの一部の列車を引き継ぎ、同鉄道の手で運行していきたいとの意向を示している。
ロシア国鉄も事業参入に興味を示している。同鉄道は西欧諸国への列車として、モスクワ発パリ行きやニース行きを運行しているが、そこへ至るまでのルートとして、ドイツは避けて通れない国であり、またEUの中でも経済大国としてのドイツの存在は大きく、同国との間にしっかりとしたパイプを繋げておきたいということも理由のようだ。
ロシア国鉄が参入するとすれば、前述のワルシャワ行きの列車を引き継ぎ、モスクワからの直通列車を繋げるということも考えられるだろう。ロシア国鉄も新型寝台車を導入しており、すでにチェコ方面の列車などへ投入され、老朽客車を置き換えている。
他社参入で廃止回避なるか?
また臨時列車などを運行する、一部の民間企業も、列車の引継ぎに興味を示していると言われている。これらの民間企業は、各国で引退した中古の寝台客車を使って、バカンスシーズンに臨時列車を運行しており、運行に必要な車両などはすでに保有している。
「撤退」という二文字ばかりに目が行き、つい悲観的に考えてしまうが、オープンアクセスによる参入の自由化により、もし業務を引き継ぐ企業があれば、撤退するからと言って、それが必ずしも列車の廃止に直結するものではない、という点では日本と少し異なる。
とはいえ、現時点ではまだ具体的な解決には至っておらず、普段の利用者にとっては不安な日々となっていることだろう。筆者が列車内で出会ったような、多くの利用者たちのことを思うと、早くこの問題が解決し、どのような形であっても列車がきちんと存続されることを強く願って止まない。
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