食品の不正流通が一向になくならない理由 そこには不届き者が得るうまみがある

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なお、三大食品不正転売事件のどれであっても、不正競争防止法や食品衛生法、食品表示法から詐欺にいたるまで、法令やルールもある。罰則もあるし、判明したら社会的非難も免れない。しかし、それでも、これら事件は後を絶たない。

食品廃棄と転用の問題が横たわる

不正転売を行う業者が悪いのは当然としたうえで、2つ指摘したい。

(1) 日本では1700万トンもの食品が廃棄されている(PDF参照:http://www.caa.go.jp/adjustments/pdf_data/131028_sanko2-5.pdf)。

食品ロス(食べられるのに捨てられたもの)が500~800万トンで、その半分である300~400万トンが「事業系廃棄物」と呼ばれる、いわゆる売れ残りだ。

慣例では、「1/3ルール」なる加工食品の納品期限がある。製造から賞味期限の、1/3を経過したら納品せずに、卸売業者等が廃棄するものだ。また、もうひとつの「1/3ルール」は、すでに陳列しているものであっても、残り1/3の期限を切ったものは自主的に棚から外され小売店が処分する。

かつては、期限を厳格に管理しようという志の高い取り組みではあった。しかし、この厳しいルールが廃棄を生んでいる。繰り返し、不正転売業者が悪いのは当然として、このルールなどの緩和が一手だろう(実際、納品に関しては1/2に検討されている)。

(2)廃棄食品をリサイクルし、それを飼料や肥料化する過程で不正が行われる事件が相次ぐ。前述のCoCo壱番屋を不正転売したダイコーも、堆肥にしたのは4万枚のうち7000枚にすぎなかった。

ということは、逆に考えれば、業者からすると、堆肥にするよりも横流ししたほうが利益の稼げる“ビジネス”といえる。たとえば、農林水産省が出しているレポート「肥料をめぐる事情」によると、なるほど日本の肥料事情として需要は伸びていない。

肥料取締法や食品リサイクル法が影響し、食品をもとにする発酵肥料が増加したが、これらは行き場なくただよっている。一部は問題となったように、不当放棄されている。

2014年から食品リサイクル法により、食品廃棄物の抑制目標値が定められた。発生量を各食品メーカーは農林水産大臣に報告しなければならない。各社とも必死な努力を行っている。ただし、それでも廃棄食品は発生する。そのときに、肥料化された元食品たちは、亡霊のように行き場をなくしている。

かなりつまらない正論を述べれば、食品メーカー、業界団体、廃棄業者、そして関係省庁のすべてが合致して、肥料の行き先やコストを含めた検討が必要といえるだろう。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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